未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>78.グローバルテクノ
2006/05/29 20:43
週刊BCN 2006年05月29日vol.1139掲載
セキュリティで自社開発事業開始
グローバルテクノ(滝川明郎代表取締役)は、東芝で鉄鋼プラント関連のエンジニアを務めていた滝川氏が独立し、1997年に設立したソフト開発企業。「グローバルレベルで先進技術を追求する企業」を標榜し、全社員の大半をソフト開発者が占める技術者集団の会社として9年が経とうとしている。そのグローバルテクノは、昨年度から今年度にかけてビジネスモデルの転換を図っている。設立から03-04年度までは、大手企業からの下請け開発が売り上げの大半を占めていた。しかし、昨年度から今年度にかけては、新分野に挑戦し自社開発プロダクトに進出している。その新分野というのが、今後高い成長率が持続できると判断したセキュリティだ。
まず04年度に、米セキュリティソフトメーカーが開発し、韓国では政府の情報システムにも採用された実績を持つ認証関連製品「Sentry Access(セントリーアクセス)」の日本での販売権を獲得。セキュリティ関連の第一弾製品を市場投入した。最初から自社で開発するのではなく、スピードとリスクを考慮して他社から製品を調達した。自社開発製品は、売れれば利益は大きいが、開発に時間と手間がかかりヒットしなければ業績に大きな悪影響を与える。新規参入分野とあって、まずは他社からの調達としたのだ。
そして、今年4月に満を持して自社開発製品を投入。その新製品が、ログ収集・解析・監査ソフトの「Sentry Tracer(セントリー トレーサー)」だ。データベースを含め、情報システムやネットワーク上を流れるログを収集し分析する。セキュリティポリシーで許可されていないアクセスがあれば、それを制御することも可能だ。蓄積するログが他社製品に比べて小さいことも特徴で、高額な大容量ストレージを最初から用意する必要がない。
コンプラインアンス強化や、「日本版SOX法」への対応など内部統制ビジネスの機運が高まるIT産業界において、競合他社も含め活発な競争が繰り広げられている、今が旬な分野だ。
開発に際しては、潤沢な資金があるわけではなかったため、情報処理推進機構(IPA)が展開する「特プロ」に申請。採択を受け、約7500万円の資金を調達して完成させた。
下請けソフト開発企業の大半は、利益率の高いプロダクトビジネスやエンドユーザーとの直接事業を目指している。ただ、大きな壁になるのは、プロダクトを開発するための開発体制と販売体制にある。開発体制を整え、プロダクトを完成させたグローバルテクノの次の挑戦は販売体制の確立。「10社ほどの販売代理店を募る」計画をどこまで達成できるかが、戦略のキーポイントになる。(木村剛士)
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