視点
ITにさらなる期待を込めて
2006/05/22 16:41
週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載
「IT業界のオピニオンリーダーとして週刊BCNに」書けというご下命に従い、門外漢であるという引け目を感じながらも、その時々の社会現象などをからませながら駄文作りに懸命の努力をしてきた。振り返ってみると、第1回の2004年11月1日には「ネット企業が経済界世代交代をもたらす」と題して書き、連載をスタートした。
次いで翌年2月7日、「『IT』は成功企業のキーワード」なるテーマで、大企業の業績回復の陰で苦しむ中小零細企業も、独自の着想・努力によってよみがえり、あるいはベンチャーを立ち上げて成功させている企業も目立つということについて書いた。そこで指摘したのは、それらの企業の発展・成功に潜む第一のキーワードは「ITの活用である」ということであった。それに続く要因は「独自のアイデア、関西弁で言うと(あほかと言われるような)着想なり」とした。もちろん「実行」と「継続」という必須条件は欠かせないが、「ITの活用」がカギになることは間違いなさそうだ、とその稿を結んでいる。
1年前の5月には、「時代は動き出した」と題した一文となっている。このように振り返ってみると一貫して、「IT業界の発展」ということではなく、「一般の企業にとって発展の基礎工事に必要不可欠なるものはIT」というのが訴えたいことであり、そのためにIT業界には頑張ってほしい、というトーンが滲み出ていると今改めて思っている。
一方で、そのあたりの時点から「注意報」を発することも始めた。前記昨年5月の文中で、ライブドアによるニッポン放送買収劇というニュースが世間を騒がせた時期であったが、「強いものは、より強く、の時代が現実になってきたが、なにが真に国民の利益につながるかを考えるべし」との趣旨を込めた。昨秋11月の本稿見出しは「カネが全てという世の中にしてはならぬ」と、「注意報」を「警報」に切り替えた。ここは解説を要しない。
しかしながら前回、今年2月の最新稿では、「時計の針が戻ることはない…」として、あらためて今後への期待を強調した。ホリエモン氏の逮捕などがあってなにかと逆風を感じるであろうが、「あらぬ疑い」は気にする必要はない、進みだした時計の針は戻らないのである。
- 1