未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>77.ビズソフト
2006/05/22 20:43
週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載
中小向けソフトで弥生に挑戦
ビズソフト(大島敦代表取締役)は、オービックビジネスコンサルタント(OBC、和田成史社長)とソフトハウスのワァットコミュ(石川隆社長)の共同出資により2005年に設立されたソフト開発ベンチャー企業だ。SOHOや従業員数10-20人の中小企業に向けた業務ソフトを開発・販売する。事業コンセプトは、「中小企業が使いやすい業務ソフトの提供」(大島氏)だ。大島氏ほか数人の起業メンバーは創業前、出資を受けたワァットコミュに所属していた。ワァットコミュでは中小企業向け業務ソフト最大手の弥生(平松庚三社長)が手がける「弥生シリーズ」の開発を請け負い、業務ソフト開発の最前線に立っていた。しかし、開発受託企業としてではなく、「中小企業に特化したソフトを自分たちのブランドで作りたい」という思いから独立を決意。OBCの和田社長に業務・資本面で協力を依頼し、設立にいたった。
昨年12月、第一弾となる会計ソフト「ビズソフト会計」をリリースした。使いやすさと分かりやすさをコンセプトに、「弥生シリーズに対する不満を解消させる機能も盛り込んだ」。発売当初から、企業ではなく公認会計士と税理士だけにターゲットを絞り、これまで100ライセンス以上を販売した。ただ、「あくまでテストマーケティング的な販売」で、公認会計士と税理士に使い勝手を試してもらい、要望を取り込むことが狙いだった。家電量販店などで今後販売する計画の店頭パッケージにあくまで照準を合わせている。さらに、給与ソフトなど他ジャンルの業務ソフトのリリースも予定しており、これから一気に攻勢をかける。
過去に開発を担当していた弥生シリーズが、今はライバル製品となった。店頭の業務ソフトでトップシェアを誇る弥生シリーズのブランド力にどう挑むのか。大島氏は、「最終的にユーザーに受け入れられるために必要なのは製品力」と品質の高さを最大の武器にするという。
店頭向け業務ソフトパッケージ市場は、種類が少なく「市場が縮小傾向にある」と分析している。「中小企業の業務ソフト利用はまだまだ進んでいない。当社のような参入企業が出ることで、市場は盛り上がるだろう」と、シェア獲得だけでなく市場活性化にも貢献したいという思いも強い。
下請け開発という黒子役に徹してきたソフト開発者たちが、表舞台に立って中小企業のIT化支援に挑む。(木村剛士)
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