IT Stock Frontline

ネット関連、日米で明暗

2006/05/15 16:04

週刊BCN 2006年05月15日vol.1137掲載

グーグルの株価は最高水準

国内のネット企業は落ち込む



 米国株式市場はダウ平均が6年ぶりの高値水準に上昇。4月中旬から本格化した1-3月期の決算発表で企業収益の好調さが確認できたことが株価を押し上げている。なかでもネット関連の主軸3企業の収益拡大が関心を集めた。ネット検索最大手のグーグルの1-3月期は検索売上高が前年同期に比べて79%増加、利益も60%伸びた。グーグルには及ばないものの、米国ヤフーは34%、イーベイは35%、それぞれ売上高が伸び業績好調を見せつけた。予想を上回る好業績を受けてグーグルの株価が最高水準に急騰するなど、ネット関連の株価は好調が続く。

 対照的に日本のネット関連の株価は下落が続いている。携帯電話向けコンテンツ最大手のインデックスは2006年2月中間期の経常利益が従来予想の40億円を下回り27億円台(前年同期比29%減)になると発表。海外事業の展開遅れが要因で株価は急落、ライブドアショック直前の今年1月に付けた高値30万円のほぼ半値に落ち込んだ。また、ライブドア支援で話題のUSENは動画配信サービス「GyaO」の広告収入が不振。06年2月中間期の営業利益が従来予想の35億円に対して4億円にとどまったことを嫌気して、株価は1月の高値から40%超の下落となった。

 ネット関連企業は成長力があることを前提に株価が形成されている部分が大きく、この2社の予想外の業績不振で、投資家の不信感は一気に高まったようだ。楽天のほか、ネット広告のサイバーコミュニケーションズや専門サイト運営のDeNAなども株価が急落した。

 ネット関連を含む新興市場は1月のライブドア事件で急落に見舞われ、その傷が癒えないうちに再び厳しい下げを強いられた。不安定な新興市場を嫌って投資家の資金はトヨタ、キヤノンといった優良株にシフトしているようだ。(有賀勝久)
  • 1