未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>74.ログイット
2006/04/24 20:43
週刊BCN 2006年04月24日vol.1135掲載
IPSを自社開発
インフォコム100%出資子会社のログイット(立古史朗社長)は1999年7月の設立。独自開発のソフトウェアを実装したアプライアンスで、今年セキュリティ業界に進出した。創業以来得意としているのは、電話の通話機能など音声記録を保存・分析する音声関連のソフトウェアと、それを独自のハードウェアと組み合わせたアプライアンスだった。この分野は競合が少なく、ログイットは他社に比べ開発実績も長いことから強みを発揮できているが、「ニッチな市場だけに今後の飛躍的な成長は見込めない」と立古社長は考え、今後需要が期待できるセキュリティ市場への参入を03年夏に決めた。
セキュリティ市場参入にあたり、当初描いていた構想は海外のセキュリティメーカーと総販売代理店契約を結び、日本市場で代理販売を手がけること。第一弾として投入する製品をIPS(不正侵入防御システム)と決め、海外メーカーと交渉して日本語化などローカライズを開始した。だが、「日本の顧客が欲する機能を盛り込めなかった」ことから昨夏、製品企画から開発までを自社の開発者で行うことに急きょ戦略転換した。
それで生まれたのが、IPSの「セキュアBOSS」。ネットワークのトラフィックを容易に管理できる自社開発技術を搭載しているほか、大阪大学の学内ベンチャーが開発したバッファオーバーフロー攻撃検知技術も備えていることが特徴だ。
セキュリティ市場はログイットにとって未知の領域だが、すでに販売チャネルの構築も進んでいる。
主な販売チャネルとして、セキュリティ製品を利用した運用監視サービスを手がけるMSP(マネージド・サービス・プロバイダ)とネットワーク構築に強いSIerに照準をあてる。すでにMSPで3社と契約が最終調整に入っており、SIerでは3-4社集めるメドが立っているという。セキュアBOSSを導入するにあたって必要なユーザーインターフェイスのカスタマイズ開発については、開発ツールキットも用意している。
30億円の売上突破を、立古社長はセキュリティ事業の目標に据える。まずは、セキュアBOSSで販売実績をあげることを最優先しているが、すでにメール監視ソフトや検疫ネットワーク構築製品などの投入も計画している。需要増が続くセキュリティビジネスに経営資源を集中していく考えだ。(木村剛士)
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