未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>73.シーネスト
2006/04/17 20:43
週刊BCN 2006年04月17日vol.1134掲載
「Skype」生かしたIP電話システム
シーネスト(西田香宏代表取締役)は、無料IP電話ソフト「Skype(スカイプ)」を使ったIPコミュニケーションのASPサービスである「ePBX for Skype」を開発・販売している。西田氏が、スカイプに可能性を見い出し、ASPとして提供するための基盤となるソフトウェアの開発とビジネスモデルを考案。今年1月に独立し、営業をスタートした。スカイプは、パソコンにソフトをインストールしてマイクとイヤホンを接続すれば、スカイプユーザー同士で無料通話を行うことができる。一般電話への発着信も有料だが対応する。複数人での同時通話やテキストチャット、ファイル転送も可能で、「IP電話とIM(インターネットメッセージング)の両方の機能を持つ」(西田氏)ものだ。
この無料ソフトを使って実現した同社のASPサービスは、企業が通話料無料のIP電話を利用できるシステム。スカイプ自体はパソコンにインストールするだけで複雑な設定をしなくても利用できる。だが、企業が使う場合は、転送機能などPBXが持つ機能が不可欠。同社のシステムは、通話機能だけでなく転送機能や同時通話などの機能を備えていることが強み。ユーザー企業は、システムを構築する必要はなく運用もすべてシーネストに任せたうえで、低コストの電話環境を構築できるわけだ。
コールセンターで使えば、問い合わせた人と企業担当者間での通話が無料になるほか、複数いる担当者の在席状況や通話状況を確認したうえで、対応する担当者に自動的に転送することも可能になる。
また、ウェブサイトに専用のアクセスボタンを埋め込むことで、このアクセスボタンをクリックすれば、同システムを経由してコールセンターに発信できるため、問い合わせ者はスカイプをインストールする必要はない。例えば、Q&Aサイトを閲覧していて、サイトでは解決できない場合、「パソコン上からスカイプを経由して電話することが可能で、サイトで分からない場合は、電話番号を調べて電話するという手間が省ける」という。
IP電話は、コスト削減が導入目的になりがちだが、「使い方次第で顧客の利便性が高まるなど、CS向上につながるケースは多い」と西田氏はIP電話のメリットを強調する。
このASPサービスとIP電話の優位性の訴求に力を注ぐとともに、今後もスカイプを利用した新たなシステムの開発を進めていく計画。無料ソフトをもとに、独自のサービスを付加することでビジネス拡大を狙っている。(木村剛士)
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