未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>70.チームラボ

2006/03/27 20:43

週刊BCN 2006年03月27日vol.1131掲載

国産レコメンデーションエンジン

 チームラボ(猪子寿之社長)は、猪子社長が東京大学在学中に設立したソフト開発ベンチャー。2000年の設立直後は、ホームページの制作やネットワークおよび情報システム構築事業が大半だったが、プロダクトビジネスに力を入れ始めている。

 プロダクト事業を成長させるためのカギとなる製品が、“レコメンデーションエンジン”と呼ばれる、ウェブサイトに組み組んで利用するソフトウェア。

 アクセス者の行動履歴を収集・分析して、そのデータから個人個人に合わせた情報を発信するためのツールだ。例えば、ECサイトで利用した場合、利用者がどの項目をクリックして、どの製品を買ったかなどのアクセス履歴を収集して分析。次に利用者がこのサイトにアクセスした際、過去のアクセス分析をもとに、利用者ごとに興味がありそうな情報をトップページに自動表示することが可能になる。

 「インターネット上に流れる膨大な情報のなかで、個人個人に合わせたパーソナルな情報が何もすることなく手に入れば便利なはず」(猪子社長)という発想から、猪子社長が創業メンバーとともに在学中に開発した。

 同様の製品は米国では複数あるというが、「日本では数製品しかなく、レコメンデーション(推薦)する情報が全く正確ではない。競合は存在しないといってもよい」状況という。

 同ソフトを利用するためには、必ずカスタマイズ開発が必要なため、「中心になる開発者が日本にいない外資系企業が簡単に参入できる分野ではない」と成長性に自信を示す。

 昨夏に中古車販売のガリバーインターナショナルに導入されたことが広告効果になり、引き合いが急増したという。今後は、これまでの労働集約型ビジネスではなく、このレコメンデーションエンジンを核としたプロダクトの販売に力を注いでいく方針だ。

 一方で、6月には検索エンジンもリリースする。インターネット上に流れる情報のなかから、キーワードを入力して情報を探すための一般的な検索エンジンだが、他社とは違う発想を取り入れている。

 ページの上位に表示する情報は、クリック数などで判断するのではなく、その時期に話題性がある旬な情報をトップに表示するなどユニークな検索結果が得られる独自技術を開発。他のポータルサイトの検索結果は、ほとんどバラツキがないが、この検索エンジンは、グーグルでは最下位にある検索結果がトップに表示される可能性もあるのだ。

 レコメンデーションエンジンの販売を軌道にのせるとともに、検索エンジンにも進出。プロダクトビジネスに本腰を入れて取り組む。(木村剛士)
  • 1