未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>65.蒼天

2006/02/20 20:43

週刊BCN 2006年02月20日vol.1126掲載

エージェントレスでクライアント管理

 2003年6月設立のソフト開発ベンチャー、蒼天(芦辺多津治代表取締役)の主軸ソフト「Log Village(ログ ビレッジ)」(価格:75万円から)は、クライアントパソコンにエージェントソフトをインストールしなくても、クライアントのIT資産管理と情報漏えい対策を施せる。蒼天が自社開発し、昨年10月にリリース。これまで25社のユーザーに納入した実績を持ち、「今年3月までには40社まで増えそう」(芦辺代表取締役)と着実な成長ぶりを見せている。

 ログ ビレッジは、各パソコンのアプリケーションおよびセキュリティパッチのインストール状況を把握できるとともに、ウェブサイトのアクセスや印刷などの操作ログ収集が可能。不正サイトの閲覧制限や印刷制御機能は持っていないが、不正なサイトへのアクセスや設定以上の枚数が印刷された場合などには管理者に警告を発する機能を装備している。

 パソコンの資産管理やセキュリティ対策が重要視される今、同等の機能を搭載する類似ソフトは数多く存在する。だが、パソコンにエージェントを組み込まない製品は珍しい。エージェントレスにすることで、顧客企業は各パソコンへのインストール作業が省ける。また、パソコンのライセンス費用がかからないため、コスト面でのメリットも大きいわけだ。発売当初は、低価格製品なので中小企業が顧客の中心になると予測していたが、実際には大企業が顧客の大半を占めているという。大口顧客としては、ゲームソフトメーカーのナムコや大手ISPが名を連ねる。

 機能は制限されているが、導入の容易さとコストメリットが大きい。そのため、最近では他社のクライアント管理ソフトと併用する企業もいるという。例えば、サポートセンターでは、マネージャークラスのパソコンには、エージェントソフトが必要でも豊富な機能を持つ他社製管理ソフトを導入し、電話やメールで対応する実務担当者レベルでは、ログ ビレッジを使うケースがあるという。

 納入実績も増え製品の品質も安定したことから、来年度(07年5月期)からは、販売体制を強化する。同社にとって初めてとなる代理店を通じた間接販売を始める計画だ。来年度末までに300本の販売、売上高3億円の突破という目標を掲げている。

 製品開発でも、不正パソコンの社内LANへの侵入を防止する機能を追加したり、エージェントソフトが必要な新ラインアップもそろえる予定で、来年度はこれまで以上に重要な年と位置づけている。(木村剛士)
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