IT Stock Frontline

ライブドアショックは短期的か 適度な冷却で上昇は今後も継続

2006/01/30 16:04

週刊BCN 2006年01月30日vol.1123掲載

投資意欲そぐ東証の売買停止

 順調な上昇を続けていた株式市場を襲ったのが「ライブドアショック」。日経平均株価は17日、18日の2日間合計で900円(6%)を超える下落となった。ライブドアが所属する東証マザーズなど新興市場も過去最大級の下げを記録。混乱が大きくなった要因には、ネット投資家など株式市場活況を支えていた投資家の投資手法がある。

 保有株を担保に手持ち資金以上の金額で株式売買ができる信用取引は携帯電話、パソコンで手軽に行なえるようになり、ライブドア株を担保として信用取引を行なっている投資家は多い。ところが、今回の事件でマネックス証券がライブドアを担保として扱わないと決めたことから、資金不足に陥った投資家が保有株を売る動きが広がったのが、下げを加速したようだ。

 大きな傷を負った株式市場だが、上昇トレンドに変化がでたとは考えにくい。投資家の期待を集めていた企業の裏切りが与えたダメージは大きく、株式市場の混乱はしばらく続く可能性がある。しかし、今回の株価下落の原因は「風説の流布」「粉飾決算疑惑」という一企業の問題だ。M&A(企業買収・合併)や時価総額経営が否定されたわけでもなく、真っ当な戦略を掲げるIT企業の成長にブレーキがかかるわけでもない。

 昨年末以降の株式市場は過熱しており、今回の下落が上昇持続のための適度な冷却になったとの見方も多い。景気回復の動きに変化はなく、短期的な混乱が収まれば株式市場は再び上昇力を取り戻すとみられる。

 ただ問題なのは、投資家からの売買注文が殺到した結果、東京証券取引所の処理能力が限界に近づき、売買停止、売買時間短縮に追い込まれたことだ。昨年大量に買い越した外国人投資家が売買に制約のあることを嫌って投資姿勢を転換させることが懸念される。(有賀勝久)
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