「攻めに転じる」

鹿島 亨社長

　今年度上期に、5つの不採算プロジェクトが発生した。通期の業績は踊り場的になってしまい、停滞を余儀なくされるだろう。

　私自身、不採算プロジェクトにこれほど悩まされたのは、今回が初めてだ。SRAの業績も昨年度まで着実に伸びていただけに、大きな反省材料だと思っている。

　しかし、不採算案件は上期にすべて収束し、撲滅のためのプロジェクト管理体制もさらに強化した。

　また、中長期的に進めてきたコスト削減施策では、赤字プロジェクトが発生したことを受けて前倒しで計画を達成できた。会社自体は無駄な贅肉が落ち、“筋肉質”になった。「災い転じて福となす」という気持ちで、メリットもなかったわけではない。

　06年は不採算プロジェクトの心配もなく、事業体質を強化したうえで、経営をスタートできる。オフショア開発の強化やOSS事業の加速、SOA（サービス指向アーキテクチャ）／Webサービスの推進など、これまで力を注いできた分野にさらに拍車をかける。M＆Aにも目を向けていく考えだ。

　05年度は守りの年となってしまったが、06年度は一気に攻めることができる体制が整ったと感じている。IT投資も堅調に伸びており、市場環境も良い。好材料は揃っている。

　05年度上期の苦い経験を生かし、下期から翌年度にかけて飛躍の年にする。