大遊泳時代
<大遊泳時代>第98回 千に三つ、いや万に一つのベンチャーお見合い
2005/12/19 16:18
週刊BCN 2005年12月19日vol.1118掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
一柳良雄氏のベンチャーコミュニティ6周年パーティで、「前川さん、前川さん」と呼びながら一人の青年が飛んできた。タクシー案内呼び出しをTV上のインターネットでやるビジネスモデルを事業化したマースの平田浩一氏であった。1年前、私が松下のTナビを紹介したのだが、やっとシステムができあがり、ビジネスを大きくできそうだと眼を輝かして喜んでいた。
横にいた読売新聞の記者が、このビジネスはおもしろい、先日、新聞に取り上げたら反響がすごかったと言う。世話した者としてもうれしい限りである。
一方、もう一人、見たことのある青年とでくわした。少し落ち込んでいる。
どうしたの?と聞くと「前川さんに紹介してもらったけど、今ひとつ進まない」とのこと。「それは、そうだよ。一押しでは無理。百回も千回も通って、初めてというもんだよ」と言っておいたが、ことほどさように、ベンチャーの紹介は難しい。
大手企業も社内ではベンチャー、ベンチャーと騒ぐが、現実に末端は忙しく、責任も追及されるし、時間もかかるので、いちいち付き合っていられない。役所も学校も大人の世界はこうしたものである。
だからといって、文句を言っても始まらない。その昔、ベンチャーだった松下幸之助も稲盛和夫もふとしたきっかけが大きな商売につながった。それまでは、足を棒にして口をへの字にしての毎日であった。
しかし、大人、先輩どもよ。もう少し門戸を広げ、ベンチャーを支援する、活用してみる気持ちを持って欲しい!明日は我が身ではない。昨日のわれわれの姿ではないか!
ねぇワトソン君。「ベンチャーは千に三つと言うけども、万に一つだね!」「いやー、お見合いと同じで全くわかりませんよ。でも、会うことから始まるのですから!」
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