大遊泳時代
<大遊泳時代>第97回 スモールオフィス&ホームシアター
2005/12/12 16:18
週刊BCN 2005年12月12日vol.1117掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
いよいよ1947~50年生まれの団塊世代1100万人が、60歳の大台である。第三の人生の準備に大忙しであるが、注目されるのは家庭内の居住空間をどうするかである。かつての「新人類」にはじまり、バブル後は「お荷物」、そして今、「中古人」と言われても、欲しいのは家庭の「城」である。
我が家ではどうかというと、最近、半年振りに留学?遊学から帰宅した愛息が、茶の間に入って「どうしたんだ」と絶句した。大画面のPDP、DVD/HDDレコーダー、PC、プリンタどころかスキャナ、さらにコピー機、DVDライターが並び、こたつはなくなり、PC用デスクにシアター用ソファーとなっていて、まさにスモールオフィス&ホームシアターだ。ビジネスとエンタメ同居のデジタル、ICTのお茶の間空間である。このたび、ベルリンで開かれたIFA2005ショーでは、これを称して「デジタルホーム」というらしい。
今は機器と機器の間は、SDカードが行き来しているが、近いうちに規格やガイドラインも定まり、デジタルホームネットワークも普及していくだろう。
AV─ITメーカーも個々の技術を競う時代は過ぎた。家の外の情報と家の内の機器がようやくブロードバンドでつながった。
次は、ブランドは違っても家庭内の機器が相互につながってこそ、本当のデジタルホーム時代がやってくる。共通プラットフォームができて、初めて真のICTが家庭内に入ったと言えるし、ネットサービスももっと有効に生かせる。
しかし、深夜眠れずにお茶の間に入るとびっくり。なんと部屋の中にまるで蛍が舞っているようである。各機器の電源LEDで銀河遊泳の気分である。
ねぇワトソン君。「まさに手近な大遊泳時代だね!」「しゃれてる前に、AV─ICTの節電省電力をもっと真剣に考えなくては!」
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