大遊泳時代
<大遊泳時代>第95回 カメラ業界とオーディオ業界
2005/11/28 16:18
週刊BCN 2005年11月28日vol.1115掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
ビデオムービーがテープからHDDに変わったと思ったら、WPC 2005にSDカードを使ったビデオムービーがでてきて、2GBカードで標準画質モード50分の映像という。スナップの静止画なら310万画素、512MBカードでも310枚という。よけいなことを聞いてみた。これを買ったらデジカメDSCはいらないのかと言うと、「いや、画素の問題がありますから、カメラはカメラですよ」と逃げられた。
次にDSCコーナーに行くとデジタル一眼に黒山の人だかりである。1280万画素という。
これが、愛息が次の誕生日に3年分の誕生祝をいっぺんにして買って欲しいと言っていたやつだとわかった。
通信キャリアコーナーで携帯は1セグ地デジが人気だったが、もうカメラ付きは常識。「カメラ付○○」か「○○付カメラ」かは別にして、一体、いつ世の中の商品すべてが「カメラ」となってしまったのだろうか。
昔、オーディオ業界がラジオ(電波)、録音機(テープ)、ステレオ(レコード)と棲み分けていた時は平和だったが……「ラジオ付○○」、「テープデッキ組込みシスコン」…と複合商品が出始め、そこへCDが登場してデジタル化されると、一気に融合化のステップへ移った。
そうこうするうちに、DVD/HDDがメディアの中心となり、業務用、プロ用でもPCプロジェクター、大型映像つきとなり、オーディオ単体の業界は消えてしまった。
カメラ業界も同じ道を歩むのか。ただ、ここにきてオーディオは、C・クリステンセンいわくの破壊的技術でもって新市場が生まれた。シリコンオーディオ、音楽配信である。となると、カメラ業界もどうなるかわからない。
映像配信VODで新大陸を発見するかもしれない。
ねぇワトソン君。「カメラ屋さん、DPE屋さんは、どうなるかね!」「よく見てごらん!プリンタ屋さん、PC携帯屋さんでしぶとくやってますよ!」
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