IT Stock Frontline

ソフトバンクが高値を更新

2005/11/28 16:04

週刊BCN 2005年11月28日vol.1115掲載

販促費が減少、ADSL黒字に転換

楽天、好決算で株価7万円台に


 ソフトバンクが人気を集め、株価は8000円台と2001年1月以来の高値水準に上昇している。総務省がソフトバンクなど3社に携帯電話事業への参入を認めたほか、発表した05年9月中間決算が5年ぶりに黒字転換したことが好感された。

 ADSL事業での戦略転換が黒字転換の要因。01年の事業開始時から行っていたモデムを街頭で配布するという販売戦略を縮小。販売促進費が減少した結果、顧客からの収入が利益に結びつくようになった。これまで4期連続で赤字決算が続き、「いつになったら黒字に転換するのか」という投資家からの声を反映する形で株価は勢いをなくしていたことも戦略転換の背景にあるようだ。

 ソフトバンクは米ヤフー株など海外グループ会社の保有株を売却(10-12月に5億ドル)する方針で、携帯電話事業参入に備えて体力を高める。また、決算と同時に1対3の株式分割(来年1月4日割当)を発表したことも株価にはプラスになった。株価水準は3分の1に低下して投資しやすくなる。ちなみに、株式分割は00年4月以来となるが、当時の株価は7万円台と今のちょうど10倍だった。

 一方、ほかのネット企業では話題の楽天が7-9月期決算を発表。売上高は前年同期の4倍の452億円、経常利益は3.8倍の130億円となった。6月に買収した国内信販(現在は楽天KC)をはじめ証券など金融事業が売上高全体の70%強を占めている。9月末の有利子負債は5700億円強。TBS株取得のために10月以降さらに835億円増加したことを明らかにしている。株価はTBS統合交渉の難航で10月末には6万8000円台まで下落したが、好決算発表を受けて7万円台まで回復している。

 楽天との統合拒否を示しているTBSはインデックスと番組のインターネット配信を手掛ける新会社を設立する方針だが、そのインデックスの株価は急騰した。(有賀勝久)
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