大遊泳時代
<大遊泳時代>第94回 鳴き比べと見せ比べ
2005/11/21 16:18
週刊BCN 2005年11月21日vol.1114掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
東京ゲームショーで「ゲームの過度の高機能化はユーザー離れを起こすから、ほどほどが大事」と聞いた。かつて、オーディオフェアで音質の過当競争に入り、聴き比べ、鳴き比べを競ったことがある。しかし、この時はブランド、商品が分からないように商品を全部布で隠して、音質を比べるというものだった。
今のデジタルAVブームは、モジュール組み合せ型生産と世界同時マーケットで競争が激化しているからか、差別化のための本質競争にも力が入りだした。
10月のCEATECで驚いたが、薄型テレビは、SED、PDP、LCDが三つ巴の開発競争を演じている。どのメーカー、どのブランドと名指しはしないが、PDPとLCDの対比、SEDとPDP、LCDの対比とメーカーの意地がぶつかる。
技術訴求だから、事実とはいっても、ショーはB2Cで、一般消費者もたくさん来場している。
業界、流通、学会レベルならよいが、SED、PDP、LCDは、どこがやっているかの色分けが、はっきりしているのだから、どうしても他社への誹謗ととられるのは仕方ない。
やはり、心配した通り、陣営同士の抗議合戦に発展した。が、PDPを売りつつ、LCDを売るメーカーもある。SEDもコストパフォーマンスがどうなるのかわからないのだから泥試合だ。
その昔、オーディオ担当の頃、流通向け新製品告知チラシで、他社がかなりひどい比較表、誹謗をのせたことがある。それに本気で対抗しようとしたのだが、松下幸之助の教えは、「他社を誹謗するなかれ」、「泥試合はだめ」。TOPメーカーも闘争心の野生だけではだめで、協調心の品性も大事。「王道を歩め」と、営業の大先輩に教えられた。血気はやる若い頃だけに、ムズムズしたことが懐かしい。
ねぇワトソン君!!「見せくらべも過ぎると安物のヌードショーだね」、「うーん、だから厚化粧してくるのですね!」
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