IT Stock Frontline

ハイテク企業の株価に明暗 松下、東芝は今年の高値更新

2005/11/21 16:04

週刊BCN 2005年11月21日vol.1114掲載

パイオニアは10年ぶりの安値に

 上昇が続く東京株式市場。日経平均は2001年5月以来の1万4000円台乗せとなった。日銀が10月末に発表した「経済・物価情勢の展望」で、06年度に向け消費者物価指数がプラスに転じる見通しが示され、デフレ脱却への期待が株価上昇を加速させている。東証1部市場全体の時価総額は470兆円と昨年末から約120兆円増加した。

 そうしたなか、大手ハイテク企業の株価は業績によって明暗が分かれている。好調な05年9月中間決算全体の上昇相場に乗っているのが松下電器産業と東芝で、株価は今年の高値を更新中だ。

 松下電器産業の05年9月中間期の営業利益は前年同期比9%増を確保。プラズマテレビの販売が同80%伸びるなどデジタル家電の好調が業績を押し上げた。売上高営業利益率は4%と1年間で0.4ポイント上昇。中期計画で掲げた07年3月期に5%の営業利益率達成という目標に近づいた。プラズマテレビの店頭価格を08年には1インチ5000円にするとの計画を明らかにしており、プラズマテレビの一段のシェア拡大で“勝ち組”の地位を不動のものにする戦略だ。

 東芝は携帯音楽プレーヤー向けの半導体であるフラッシュメモリが好調を持続しているほか、パソコンや携帯電話のデジタル商品部門が黒字転換した。

 一方で、業績不振から株価が下落しているのが日立製作所。05年9月中間期は薄型テレビの販売が国内外ともに不振で、デジタルメディア・民生機器部門は162億円の赤字に転落。全体の営業利益が前年同期比39%減となったのが嫌気された。

 このほか、中間期の営業利益が同78%減となったNECの株価は今年3月の高値から10%超も下げ水準にある。06年3月期には250億円の営業赤字が見込まれるなど厳しい収益が続くパイオニアの株価は10年ぶりの安値水準に下落している。(有賀勝久)
  • 1