大遊泳時代
<大遊泳時代>第93回 愛知万博とグランドデザイン
2005/11/14 16:18
週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
愛知万博が結果として2204万人の入場で、事故なく終わり、よかった。期間中とやかく言うのは失礼なので差し控えてきたが、終わってみると、これまでの博覧会や競技会は箱ものやITの償却残が残るだけだったような気がする。ところが、今回の愛知万博は余剰金も残り、環境再生も行うとか、すばらしい話である。
では、思い出に残ったものはというと、第一がマンモス、大自然への畏怖であろう。
第二が約100体の生活型ロボット。なんだかんだと言っても、産業用ロボットとは違う。21世紀の科学技術の方向に夢を与える。それ以外には、残念ながらあまりない。
相変わらずの巨大スクリーンの映像展示館は、家に帰ると何も印象に残っていない。
それより、意外と評判のよかったのが、発展途上国のリアルな展示出品や異文化の香りあふれるデモであった。
もう先進国で万国博をやる意味はないのであろう。これが最後かもしれない。
ところで、10月20日付日経新聞の「中部が拓く日本の未来」を読んで愛知万博のその価値がわかってきた。
万博をトリガーとして,中部空港の稼働、ハイブリッド車の普及が進んだ。RT分野の開発加速、産業資源の観光化、中部圏の中小企業、ベンチャーの活況、名古屋ブランドの高揚…と、中部経済圏が面として相互に連携し、万博効果が地域産学、地域インフラ、地域消費へ大きな貢献をしている。
一体、誰がこんな全体のビジョン・戦略を描いてプロデュースしたのか。
やはり、上に立つ人のリーダーシップ、トータルデザインが大切だなと感心した。
ねぇワトソン君。「結果論で言えることだが、愛知万博と大阪五輪はどこか違ったね!」「やはり、上に立つもの、ミクロや足元の事に振りまわされてはいかんですな!」
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