IT Stock Frontline

バブル期しのぐ活況に

2005/11/14 16:04

週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載

口座数は前年比60%増の勢い

ネット証券の収益拡大

 インターネット専業証券の収益が拡大している。手数料の低さなどを武器に個人投資家の獲得が進んでおり、バブル期をしのぐ株式市場の活況と顧客増加という相乗効果が利益を押し上げている。

 発表になった2005年9月中間期は、イートレードの経常利益が109億円と前年同期の2倍以上になったのをはじめ、ネット専業証券5社(松井、イートレード、マネックスビーンズ、カブドットコムが上場、楽天は非上場)はいずれも過去最高の業績となった。ちなみに経常利益の額では松井証券(140億円)がネット専業証券でトップで、証券会社全体では10位にランクインしている。

 ネット専業証券5社合計の口座数は今年9月末で226万と1年前に比べて約60%増えた。「新規口座開設のほぼ半分は株式投資の未経験者」(マネックスビーンズ証券の松本社長)といい、新規の個人投資家の参入がネット証券の口座増加につながっている。株式市場の活況がネット証券の収益を押し上げているが、見方を変えれば株式市場の活況はネット売買の隆盛がもたらしたとも言える。手数料は自由化(97年)以前に比べてざっと10分の1になったが、これはネット証券だからできたこと。手軽に売買注文が出せるという利便性も個人投資家の株式市場参入をもたらしたと言える。

 もちろんネット専業証券間の競争も激しい。イートレードは10月から売買代金50万円以下の手数料を業界最低に引き下げたほか、カブドットコムは60歳以上なら手数料が割引になる「シニア割引」を導入するなどして、顧客の利用件数増加を狙う。

 また、少し先を見ると、「貯蓄から投資へ」の流れのなかでこれまでリスクを取らなかった巨額の資金が株式市場に流れ込んでくる。手数料の安さだけに頼っていては成長を維持できないのも確かだ。今後は野村証券など対面型の営業を行う大手証券との競争も激しさを増しそうだ。(有賀勝久)
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