“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日
<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>24.IPテレビ海外事情(2)
2005/10/24 16:04
週刊BCN 2005年10月24日vol.1110掲載
それは米国でも同様だ。前号で、米大手地域通信会社のSBCコミュニケーションズは、2007年末までに1800万世帯にIPテレビサービスを提供する構えと述べた。
SBCは年内にも長距離通信大手のAT&Tの買収を完了する。今後は市内から長距離までを押さえるメガキャリアとなる。
同様に長距離通信大手MCIの買収を計画して(当局の承認待ち)、メガキャリアへと変貌する地域通信最大手、ベライゾン・コミュニケーションズも9月末からIPテレビ事業「FiOS TV」に乗り出した。FiOS TVは光ファイバーを使って配信されており、180ch以上のコンテンツをそろえるという。
メガキャリアを目指す地域通信の2社が相次ぎIPテレビ事業に力を入れ始めたのには、理由がある。対CATV戦略である。
周知の通り、米国は全世帯の7割がCATVで地上波を受信している。そしてコムキャストなどCATV大手がここ最近は、映像とIP電話、ネット接続のトリプルプレイを仕掛け、SBCやベライゾンの領域を脅かす。
SBCやベライゾンは、いくら通信事業を拡大しても、映像まで手がけないとCATVに足元をすくわれる危険性がある。CATVが自分たちの領域を脅かすなら、逆に相手の領域(映像)へ進出、トリプルプレイで対抗するというわけだ。
もともと米国のテレビ局は、CATVの再送信に頼らなければ、広い国土をカバーできないので、日本のテレビ局のように自前配信にこだわらない。そうなると伝送路は、CATVのケーブルでも地域通信のADSL、光ファイバーでもかまわないのだ。
つまり、SBCやベライゾンもテレビ局からコンテンツの提供を受け、IPテレビ事業に乗り出しやすい。日本同様に地上デジタル放送が普及し始めている現在、ネット配信の方が伝送路としては優れている面もある。
メガキャリア対CATVという構図がある限り、米国ではIPテレビの普及は速いだろう。
- 1