視点
マネジメントの基本
2005/10/17 16:41
週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載
1人でパンの材料選びから焼きあがりまで全部こなせるのは1番良いのだが、そういう人材は変化に弱く、コストがかかり、リスキーである。従って、創造のプロセスを分割し、その役割分担を設計する。この時、一番重要なのは結果の出るプロセスの設計であることはいうまでもない。
プロセスの設計とは、顧客が求めている結果に対して、どのような客観的な事実を積み上げればそのような結果に至るかを、顧客の視点に立って設定することである。結果には原因がある。結果は事実である以上、その原因も事実でなければならない。
このプロセスは、業界標準もなければグローバルスタンダートもない。独自の勝つためのプロセスなので、標準など最初からないのである。独自のプロセスとは、その企業のある業務における独自の組織的な結果を生み出す工程である。あくまでも自社の外部環境と内部条件に則った設計が必要なのである。
また、そのプロセスは必ず具体的な事実に分割する、あるいは落とし込む必要がある。さらにそれぞれの事実はどのような努力の事実によって完結できるかを定義しなければならない。また、何をもって完結とするかを明確に定義し、その定義は組織全員の理解と了解が必要である。
ここまできたら、あとは話が楽になる。具体的な人間が、どのようなタイミングで、どのような具体的な目標(最終結果ではなく)に向かって、どこまで努力すれば、どのような評価が得られるか。これらは自然に見えてくる。
「プロセスを独自に設計し、細かい工程に分化し、事実を計測しながら改善と評価を行う」ことをプロセスマネジメントという。これにはマネージャーの力が一番求められる。結果を数えて檄を飛ばすような古いマネージャーには辛い話だ。彼らは必ずといっていいほど、プロセスマネジメントに抵抗を示す。
マネジメントの基本は人を管理するのではなく、価値創造の過程を管理することである。この基本ができていないマネジャーが大勢いることが不思議でならない。マネジメントは職務であり、偉さを表現するためのものではない。このことを“ニッポン型上司”はいつになったら理解するのだろうか。
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