大遊泳時代
<大遊泳時代>第88回 歌碑と著作権
2005/10/10 16:18
週刊BCN 2005年10月10日vol.1108掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
信州安曇野でサイクリングを楽しんだ。レンタサイクル屋に行くと、GPSだ、ナビだとうるさいことを言わずに地図をくれて、「何かあったら、即携帯電話で連絡を!!。サイクリング中は、ヘッドホンの音楽もよくないですよ。携帯電話もだめですよー。車や道路わきの溝にも気をつけて下さい」とのこと。なるほど、ITだなんだという前に基本を守ってということである。納得して日本アルプスのもと、道祖神の合間を楽しんだ。
きれいな川、せせらぎの側にある有名な「早春賦」の歌碑をたずねて驚いたことが2つあった。
第1は、歌碑の側らに「ソーラーオルゴール」があったことである。ボタンを押すと懐かしい早春賦の曲を鳴奏してくれる。ハイキングで来ていた老夫婦も喜んでいた。
これは「株式会社オルゴール/orisys製」となっていたが、なんとソーラーでオルゴールとは環境に優しく、耳で楽しませてくれる歌碑であり、素晴らしいと思った。
第2は、歌碑の側に「拓本を禁ずる」との立て札があったことである。もちろん、墨を塗られては困るのはわかるが、現代でも拓本をとることがあるのかと思った。
そこで疑問に思ったことがある。第1がオルゴールの曲の著作権はどうなっているのかな?。私的でもない、かといってビジネスでもない、無料の観光サービスである。
第2が歌碑の拓本は無断複製となるのかな?。大正元年に吉丸一昌が作詞、中田章が作曲した名曲である。
早速、日本音楽著作権協会(JASRAC)に聞いてみると──。50年以上経っているため、著作権は消滅しているとの解答があった。
ねぇワトソン君、「いつになっても好奇心が大切だね!」。「いやー、老後もあまりしつこいと嫌われますよー!」。
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