未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>46.トランスウエア
2005/10/03 20:43
週刊BCN 2005年10月03日vol.1107掲載
メールにフォーカス
トランスウエア(松田賢代表取締役)は、「有償のブラウザメールソフトの草分け的存在」(一久保考広・営業部長)として、1998年にブラウザメールソフト「アクティブ!メール」を開発した。それ以来、創業時からビジネスの中心だった受託ソフト開発から、電子メールにフォーカスを当てたパッケージソフトの開発・販売ビジネスに方針転換した。受託ソフト開発事業では成長が見込めないという予測から、早々と受託ソフト開発会社からの脱皮を図ってきた。「アクティブ!メール」は、ブラウザからメールの送受信が行えるソフト。今では有償のブラウザメールソフトは多いが、「発売した98年当時は無料ソフトしかなく、サポートに不安を抱いているユーザーが多かった」(一久保営業部長)という。トランスウエアは、サポートへの不安という部分に着目し、充実したサポートメニューを用意。さらにフリーソフトよりもインタフェースを充実させたことで、有償でも利用してもらえるようにした。
最新バージョンでは、NTTドコモ、KDDI(au)、ボーダフォンの3社の携帯電話からも、「パソコン同様の操作でメールの送受信が行える」(同)ようになるなど、機能拡張も着々と進めている。
顧客は、企業や官公庁に加えて、日本語、英語、中国語、韓国語の4言語に標準対応していることから、留学生を多く受け入れている大学からの引き合いも強い。これまでの獲得アカウント数約1000万アカウントのうち、約半分が大学ユーザーだという。
ブラウザソフトがあれば、どのパソコンからも自分の電子メールを読めることがブラウザメールのメリット。最近ではセキュリティ対策としても顧客の関心は高くなっている。これは、メールはすべてサーバー上で管理し、パソコン内に格納することがないため、情報漏えい対策にも活用できるためだ。
セキュリティ対策からもブラウザメールに着目する顧客が増え、「電子メールにはセキュリティ対策が不可欠」(同)という考えから、スパム(迷惑メール)対策ソフトも自社開発した。これまでは韓国製品の販売代理店としてスパム対策ソフトを扱っていたが、10月下旬には自社開発製品を投入する。
ブラウザメールソフトの機能強化とともに、「電子メールに関わるセキュリティ対策製品の開発も重要なポイント」(同)としており、セキュリティというジャンルのソフト開発も併せて強化する考えだ。(木村剛士)
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