“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日
<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>21.ソフトバンクの新戦略(2)
2005/10/03 16:04
週刊BCN 2005年10月03日vol.1107掲載
しかし、ソフトバンクにコンテンツを提供する民放側には、“ネット界の雄”と手を組むことにどんな思惑があるのか。敵に塩を送ることにならないのか。
民放側で番組を提供するのは、在京キー局ばかりではない。在阪、在名の準キー局、地方局の番組も含まれる見込みである。
そして、在京キー局とそれ以外の局では思惑が少し違うようだ。
北陸のある地方局の営業担当者はこうもらす。
「全国ネットの枠が限られている在阪、在名の準キー局、全国ネットの機会がほとんどない地方局にとって、(全国の視聴者を対象とする)ネット配信は販路を少しでも広げるチャンス。特に地方局なら、それだけの番組を制作できるかどうかは抜きにして、失うものがないから、ネット配信には積極的だろう」。
在阪、在名の準キー局は、全国ネットのゴールデン枠でいくつもの人気番組を放映している。ほぼ一定の枠を持っているからである。ただ、その枠はヒット番組をつくったからといって増えることはない。地方局の場合、全国ネットで勝負する機会がないから、制作能力そのものが育たない。
「今までは横並びの業界秩序のなかで安穏としていれば良かったが、地上デジタルの設備負担や地方経済の冷え込みで、(キー局以外の)我々も自力を少しでも付けていかないと生き残ってゆけない」(前出の営業担当者)。
経営状況が厳しい(これから一層厳しくなる)準キー局、地方局にとって、番組の販路を広げられるネット配信はプラス。企業の広告がネット媒体へ徐々に流れているなか、テレビ局もネット上に足場を設けたいのは当然だ。
キー局がローカル放映する番組の中にも、ネット配信という前提なら“全国ネット”にも耐えられるものもあるだろう。
また、地方局の北陸朝日放送は、4月からBBテレビへ紀行番組などを提供する。こうした番組も有料放送だと視聴者は限られるが、無料なら受ける可能性もある。
固定の放送枠で形成されている放送業界の秩序は、ネット配信で少し変わるかもしれない。
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