e-Japanのあした 2005
<e-Japanのあした 2005>53.総務省ICT政策大綱
2005/09/26 16:18
週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載
総務省のu-Japan政策では、2010年に向けてユビキタスネットワーク整備、ICT利活用の高度化、利用環境整備の3つで政策目標を掲げた。ICT政策大綱では、まず05年上期までの現状評価を行い、課題を整理した。ユビキタスネットワーク整備ではブロードバンドサービス加入可能世帯数がDSLで4630万世帯、光ファイバーが3590世帯となる一方で、ブロードバンドゼロ市町村・地域が存在すること、60歳以上の高齢者のインターネット利用率が26%と低いこと。ICT利活用の高度化では、ICTの利便性に対する評価が、情報収集やショッピングで高いものの、行政、医療、教育で低迷していること。利用環境整備では、利用者の3分の1が個人情報の流出や不正利用などの事件が増えているなか不安を感じながら利用していること──などを指摘。これらの現状を踏まえて06年度の重点政策をまとめた。
来年度概算要求額が05年度当初予算に比べて大きく増えた項目は、ユビキタスネットワークの整備促進のなかの「地理的デジタルディバイドの是正」。一般財源分の要求だけで160億3000万円と、ほぼ今年度当初予算の倍額を要求している。これまでも地域イントラネット基盤施設整備事業、地域公共ネットワーク基盤整備事業などの支援を行ってきたが、今回の目玉は地方自治体の自主裁量性の高い資金を交付する新しい制度を創設する点だ。地域の実情に合わせてハードとソフトが一体となった提案型の基盤整備事業を「ユビキタス・コミュニティ創生計画」(仮称)として採択して資金交付するもので、39億4000万円を新規要求する。さらに条件不利地域でのブロードバンド整備を加速するため、加入者系光ファイバーなどの整備に必要な資金の借入れに対する利子助成制度として、最大無利子まで助成を拡大する制度も新たに10億5000万円を要求して新設したい考えだ。
ネットワークインフラの高度化推進に関する予算要求も、2.5倍の51億円への大幅増額を目指す。ネットワークの早期IP化の実現に向けてオールIP型次世代ネットワーク(NGN)の構築に必要な基盤技術の研究開発・実証で新規に10億円の予算枠を確保するほか、ユビキタスネット社会のトラフィックの急増やトラフィック交換の東京一極集中に備えて進めている次世代バックボーンの研究関連の予算も倍増の41億円を要求している。
情報セキュリティ関連では、新規に21億7000万円を要求して、多くのコンピュータを悪用してサイバー攻撃を行うボットプログラムの感染防止対策や、電気通信事業者などの緊急対応体制強化のためのサイバー攻撃対応演習などの実施などを計画。また、電子政府・電子自治体関連でも、サイバー攻撃などの情報共有・分析を行うための「自治体ISAC」の創設のための予算要求を行った。EA関係の予算は、業務システム最適化計画の策定作業が今年度で終わり、来年度からはシステム開発も本格化するため、電子政府関係は今年度の5億6000万円から36億8000万円への大幅増額を求めているほか、電子自治体関係も地方自治体に対する調査・照会業務システムの構築のため新規に9億3000万円の要求を行った。
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