IT Stock Frontline

東証1部売買高は30億株台 ハイテク株も上昇基調に

2005/09/26 16:04

週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載

内需セクターがリード役

 景気回復期待を支えに上昇が続く東京市場。9月15日には東証1部の売買高は30億株台とバブル期を上回り過去最高を記録した。

 株価上昇のリード役は国内景気回復の恩恵を受ける鉄鋼、銀行、機械といった“内需”セクターだったが、これらは短期間に急騰して過熱感が出ており、トヨタ自動車、キヤノンといった知名度の高い国際優良株、そして株価があまり上昇していなかったハイテク株にも人気が回ってきた。大手電機のなかで先頭を切って今年の高値を更新した富士通は、通信業者による光ファイバー敷設や基地局投資の活発化を背景にネットワーク関連事業が伸びている。

 また、日立製作所、東芝は共同出資で半導体の製造受託会社を設立する意向が報道されている。システムLSI(大規模集積回路)に絞って量産し、米インテルや韓国サムスン電子に対抗する構え。米国のモルガンスタンレー証券は東芝のリポートで、「システムLSIの採算が改善すれば業績上振れも期待できる」とコメントするなど、この分野の動向には機関投資家の関心が高いと思われる。今後、海外投資家が電機株にポジティブスタンスを取る可能性が出ている。また、日立、東芝などは事業領域が広く景気回復の恩恵を受けやすい。出遅れの景気敏感株としても注目度が高まっている。

 幅広い銘柄の株価が上昇するなかで、“負け組”も逆襲に向いてきた。年初来安値圏に位置していたソニーの株価も上昇。9月中に予定される経営方針説明会への期待が背景にあるほか、出資していたネット証券のマネックス・ビーンズ証券の保有株の一部売却を発表。ソニーはこれまで銀行、保険、証券という金融分野を含むコングロマリット構想を実践していきたが、「それとの決別する覚悟を決めたのでは」との観測が出ていた。(有賀勝久)
  • 1