未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>44.クロスランゲージ
2005/09/19 20:43
週刊BCN 2005年09月19日vol.1105掲載
翻訳ソフトをASPで提供
翻訳ソフトの開発・販売を手がけるクロスランゲージ(古賀勝夫代表取締役)は、パッケージソフト販売という従来のスタイルから脱却し、ソフトの提供方法を広げることで、成長している翻訳ソフト市場でのビジネス拡大を狙う。同社の選択肢は、ASP(アプリケーションの期間貸し)サービスだ。市場や活動の拠点を海外に求めて、グローバルビジネスに参入する企業は多い。「今は中堅企業でも海外進出するケースが増えてきた」(古賀代表取締役)。このことで、翻訳ソフトのニーズはパソコンが普及してきた90年代後半に次ぐ盛り上がりをみせているという。
ただ、「パッケージだけでは多くのユーザーを獲得できない」(古賀代表取締役)との考えと、パッケージソフトの低価格化やショップでのソフト販売が低迷していることから、ASPサービスという形態でのソフト提供に乗り出したわけだ。
クロスランゲージは、翻訳する際に必要な独自の言語解析アルゴリズムを持ち、翻訳エンジンを自社開発する。日本語、英語、中国語、韓国語のほか欧州各国の言語に対応。全ソフトがウィンドウズとマッキントッシュの両プラットフォームで動作する。さらに、医療や特許関連など専門用語が多い文書の翻訳機能については、「通常版で翻訳すると精度がはっきり低下する」(古賀代表取締役)ため、通常版とは別に専門辞書機能などを付加したソフトも開発している。「言語対応数やラインアップ数が当社を上回るソフトハウスはいない」と古賀代表取締役は自信を示す。
新たに開始したASPサービスでは、企業向けに月額18万円のユーザー数無制限ライセンスも設けた。もちろんこれだけではなく、20ライセンスから購入できるメニューも揃えており、中堅企業でも容易に利用しやすいように工夫した。
一方、個人向けではポータルサイト運営企業との連携を推進。「ヤフージャパン」には、基本的な翻訳技術をOEM(相手先ブランドによる生産)提供。同サイトで提供されている翻訳サービスに利用されている。
パッケージとしての提供のみで成長してきたクロスランゲージだが、市場環境やユーザーニーズの変化から、ビジネス拡大のためには、パッケージソフトの提供というビジネスモデルだけでは限界にきているとみる。そのため、サービスとしてのソフト提供に本格的に動き出したというわけだ。(木村剛士)
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