大遊泳時代
<大遊泳時代>第85回 動物とITはどちらが役立つか
2005/09/19 16:18
週刊BCN 2005年09月19日vol.1105掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が社会貢献の1つとして主催している関西有識者の「六甲会議」において、阪神・淡路大震災10周年ということで「次なる大災害に備えて」のテーマで議論が戦わされた。兵庫県立大学・熊谷信昭学長のお話では、スマトラ沖大津波の時、「タイの象が突然、山へ逃げ出し、乗っていた観光客は助かった」、「津波の直前に水牛が突然、山へ走り出し、慌てて追いかけた水牛飼いは助かった」、「阪神大震災前の1週間は全く海釣りはだめだった」、「地震津波で死亡した人間の遺体の処置には困ったが、動物の死骸は見たことがない」という。
そう言われれば、阪神・淡路大震災の時、藤本義一氏が「芦屋では犬、猫、鳥が前日いなくなった」と…。
また、「オウム真理教の捜索にカナリヤが活躍」、「阪神ではスイスの犬が人助け」、「伝書鳩の帰巣本能は、過去幾多の人間のリスクを救った」とかがマスコミで喧伝されている。
となると、動物の感知能力はエレクトロニクスICTのデバイスより、優れているかもしれない。
これは、非科学ではなく、未科学の分野であるという。もっと自然に学ぶことが大事と反省した。
こうした未科学分野をいかに究明し、活用していくかが科学技術の使命の1つではないか。となると、動物とAV─ICTをもっと近づけることを考えてはどうであろうか。
アナログ→デジタル、機械→エレクトロニクスのように、動物本能→ICTの進化である。
とは言うものの、人間はコミュニケーション動物である。フェイス・ツー・フェイス、ハート・ツー・ハートを大切にしたい。
ねぇ、ワトソン君!!、「動物社会の智恵にないのが、人間社会での隣組ではないかな」。「いやいや、動物の群れ本能としきたりには勝てませんよ!!」。
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