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東京市場、4年ぶりの高値水準に バブル期並みの大商い続く

2005/09/12 16:04

週刊BCN 2005年09月12日vol.1104掲載

景気回復とデフレ脱却ムードがきっかけ

 東京市場は日経平均株価が1万2500円台と4年ぶりの高値水準に上昇。8月の1日あたりの東証1部出来高は19億株と昨年のほぼ2倍、1987年のバブル期並みの大商いが続いている。

 株価上昇のきっかけとなったのは、政府、日銀が景気の踊り場脱却を宣したこと。内需主導による景気回復、さらにはデフレ脱却を期待するムードが広がった。そして郵政民営化を巡っての衆議院解散。外国人投資家は「郵政民営化が国民の支持を得て、小泉政権の構造改革は一段と進む」との見方を取った。外国人の日本株買いはすさまじく、8月の買い越し額はこれまでの最高である03年3月の1兆8500億円を上回った模様だ。

 景気回復期待を背景にした上昇相場の牽引役は銀行株。貸出しの回復による収益拡大期待、公的資金の順調な返済にみられる不良債権処理の順調な進展を好感した買いが殺到した。

 銀行株に続いて人気なのは景気回復の恩恵を受ける鉄鋼、機械、建設、不動産など。電機、精密などハイテク株はさえない展開が続いている。象徴的なのはソニー。デジタル家電分野での出遅れ、ヒット商品不足から業績回復の糸口がなかなか見えないことが嫌気されている。

 もっとも、ハイテク株のなかにも動きが出ている。インテルのMPU(超小型演算処理装置)向けパッケージを手掛ける新光電工は5年ぶりの高値水準に上昇した。

 キヤノンはNECの子会社であるNECマシナリー(大証2部)とアネルバ(非上場)を買収すると発表。両社の買収は来年投入予定の次世代薄型テレビ用パネルSED(表面電界ディスプレイ)の開発力向上を目指したもの。キヤノンは3月の株主総会でバイオ事業参入に向けて定款を変更。今回系列を超えた買収に乗り出したことで経営戦略の転換が読み取れる。(有賀勝久)
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