視点

コピーワンスが改善?

2005/09/05 16:41

週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載

 正しいことは主張しなければならない。声に出して、信念を堂々と発言すれば、硬い岩盤もどこかに穴があく。

 あの悪名高い「1回しかパッケージメディアにエアチェックできない」コピーワンスシステムが再検討される運びになった。先日発表された総務省情報通信審議会の中間答申でその見直しが提言されたのである。

 デジタル時代になり、著作権者が異様に権勢を誇り、ユーザーはその奴隷に等しい扱いを受けてきた。ユーザー側が従順であったことも原因の1つだ。しかし、事態は変わってきた。コピー制限の悪音質メディア、CCCD(コピーコントロールCD)が撤退に追い込まれたのは、ユーザーからの反対運動の成果であり、今回のコピーワンス騒動でも、その方向が見えてきた。

 コピーワンスの何がいけないのか。すべての視聴者を「犯罪予備軍」とみなしていることだ。デジタルダビングして、ネットオークションに出したり、インターネットに流したりするのが悪いのであって、それを封じ込めるために、すべての人の2回ダビングを封止するというのは、おかしい。

 全視聴者が悪いことをするかもしれないから、悪いことをしない対策を講ずるのは正当か。悪いことをしようとしている人には効果的だけれども、何もそういうことを考えていない人にとっては、迷惑である。

 コピーワンス導入のフレコミは、製作者側に安心してコンテンツを提供してもらうため、コピーコントロールが有効ということだったが、BSデジタル放送の内容が(特に民放)、昨年4月の導入以後、飛躍的に向上したとは、お世辞にも言えない。

 エアチェックしたコンテンツは、ネットに流したりオークションで売るのはいけない。しかし、個人の楽しみの範囲ではより自由に活用されるべきだ。例えばSDカードなどにダビングして、携帯端末で通勤途中に見ようとした場合、SDカードに移した貧弱な映像は残るが、元のハイビジョン映像はなくなってしまうというのは、まったくナンセンスだ。

 アナログでできていたことを継承し、さらに新しい魅力が加わるというのが、ユーザーにとってのデジタルの御利益でなくてはならない。
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