未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>42.ジャスミンソフト
2005/09/05 20:43
週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載
受託開発からの脱皮
沖縄県の第3セクターでソフト開発を行っているトロピカルテクノセンターから独立し、2001年に事業開始したジャスミンソフト(贄良則代表取締役)は、受託ソフト開発中心からパッケージソフトメーカーへと変わろうとしている。事業転換のきっかけとなったのは、開発案件の減少とプロジェクト単価の下落。オフショア開発の浸透で、ITベンダーが下請けに発注する開発案件の多くが海外に流れるようになった。地方のソフトハウスに発注されてきた案件もインドや中国に移っている。案件数の減少と、案件の単価自体の下落で、経営を支えるためには業態の転換がどうしても必要になった。
ジャスミンソフトは、「利益を確保するために、どうやって生産性を上げるかを模索していた」(贄代表取締役)。その努力が実り、「生産性を10倍に引き上げる」(同)開発手法を考案した。これをツール化し、自社内で3年ほど前から使い始めた。
それでも、「受託ソフト開発ビジネスは今後も大きく伸びない」(贄代表取締役)という危機感から、このツールをパッケージソフト「ジャスミンソフトハーベスト」として昨年5月から売り出した。東京都内に事務所を設け、今年4月からは首都圏の販売代理店の開拓を進めている。
「ジャスミンソフトハーベスト」は、JavaとXML技術を用い、ウェブアプリケーションの開発を高度な知識を持たなくても短期間で可能にするツール。エンドユーザーが、簡単な顧客管理などのウェブアプリケーションを作ることが可能になる。ソフトハウスも「ジャスミンソフトハーベスト」を活用すれば、開発の効率化を図れるという。どんなアプリケーションにも必要な項目と機能をプログラムを書かなくても自動生成できる仕組みが強みだ。
このパッケージだけでなく、顧客や取引先の住所を正規化する「住所正規化コンバータ」など、「ジャスミンソフトハーベスト」に加えて5種類のパッケージをラインアップした。
「住所正規化コンバータ」は、類似製品がないことから、日本オラクルから声がかかり、オラクル製CRM(顧客情報管理)の機能強化のための連携製品の1つとして採用された。パッケージソフトのコンセプトは、「類似製品がない、あるいは競合製品があったとしてもその製品より半額以下の価格で提供できる製品」(贄代表取締役)だ。
まずは「ジャスミンソフトハーベスト」の販売を軌道に乗せ、売上高に占めるパッケージソフト事業の比率を現状の20%から50%に引き上げる計画だ。(木村剛士)
- 1