未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>41.アイピーロックスジャパン

2005/08/29 20:43

週刊BCN 2005年08月29日vol.1102掲載

データベース保護に特化

 情報漏えい対策ニーズを満たす前例のないソフト──。

 アイピーロックスジャパンの大西基文・執行役副社長は、主力製品のデータベース(DB)保護ソフト「アイピーロックス」をこう表現し、自信を示す。

「情報システムのなかで、大切な情報資産を格納してあるのはDBであるにも関わらず、そのDBへのアクセスを監視し、保護する製品はいつまで経っても登場してこなかった。『アイピーロックス』は、DBを守れる唯一の製品」(大西副社長)というわけだ。

 DBへのアクセスや脆弱性の有無を常時監視し、万一、不正アクセスや脆弱性が発見された場合は警告し、さらにその原因を突き止めることができる。約1年半の開発期間を経て製品化した。

 本格的に販売を始めたのは今年からだが、「個人情報保護法」の完全施行も追い風になり、すでに80社の顧客を獲得している。DBに特化した監視・保護ソフトはこれまで市場になかったので、大手ITベンダーもパートナーとして集まった。NTTコムウェアやNEC、日本オラクル、日立製作所など約20社と協業体制を築いた。今年度(2005年12月期)末までには、「導入企業数を2倍の160社以上には増やせる」(大西副社長)と、販売体制が確立したことに加え、依然衰えをみせない情報漏えい対策ニーズを背景に、表情は明るい。

 アイピーロックスジャパンは、02年1月に米カリフォルニア州に設立されたアイピーロックスの日本法人。創業者である坂本明男社長兼CEOが、グローバルスタンダードを目指すという方針を掲げ、日本人スタッフ中心ながらまずは米国で起業し、その後、03年6月に日本に進出した。米IBMと技術的協業体制を築くなど、米企業との結びつきも強い。グローバル展開する大手企業が顧客に多いだけに、日本本社で導入した後、海外の現地法人で採用されるケースも多い。

 今秋には新バージョンを投入し、パートナー支援営業担当者も拡充。パートナーがより売りやすい体制を築く。機能拡充と販売体制の両面で強化を図る。

 また、「アイピーロックス」ではカバーできないセキュリティジャンルについては協業で補う方針で、販売パートナーだけではなく、技術協力パートナーを増やすことにも力を入れていく。システムインテグレータ(SI)が他社製品とインテグレーションしやすくするために、連携製品を拡充することも強化ポイントに置いている。(木村剛士)
  • 1