IT Stock Frontline

ハイテク株、業績で明暗 好調な松下、シャープ

2005/08/15 16:04

週刊BCN 2005年08月15日vol.1101掲載

赤字拡大で苦戦するソニー

 2005年4-6月期決算の発表を受けて、ハイテク株は業績による明暗が鮮明になってきた。

 松下電器産業は株価が3年ぶりの高値水準に上昇。4-6月期の営業利益は前年同期に比べて6%増加。半導体や携帯電話は苦戦したものの、それをカバーする形でデジタル家電の販売が好調。特にプラズマテレビの国内シェアは60%を超えたと推定される。価格下落で利益なき繁忙を強いられる家電メーカーが多いなかで、商品競争力の強さを武器に一人勝ちの様相を呈している。

 対照的に業績悪化から株価が年初来の安値に下落したのがソニー。4-6月期はテレビ事業が売り上げ低迷と価格下落から赤字が拡大、ゲーム部門も苦戦した。営業損益は126億円の赤字(前年同期97億円の黒字)に転落、06年3月期通期の営業利益見通しを従来の1600億円から300億円(前期比74%減)に下方修正した。薄型テレビなどデジタル家電の販売でも出遅れ、ヒット商品不在の状態が続いていることが業績悪化の要因。6月には経営陣が交代、9月には再建策を発表する予定だが、それまでは明るい材料が出そうになく株価低迷は続きそうだ。

 ハイテク株で松下とともに勝ち組に入っているのはシャープ。4-6月期の営業利益は355億円と前年同期並みの水準を維持した。液晶テレビの売上高は819億円(前年同期比46%増)と拡大。業界全体の価格下落が予想以上のテンポで進むなか、圧倒的なブランド力と付加価値の高い大型機種へのシフトを進めたことが奏効した。

 一方、業績悪化に意外感があったのがセイコーエプソン。06年3月期の連結経常利益は従来予想の880億円を下回り810億円(前期比5%減)になる見通しと発表した。競争激化からインクジェットプリンタの販売価格が下落していることが収益を直撃した。(有賀勝久)
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