未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>39.スカイウェイブ

2005/08/08 20:43

週刊BCN 2005年08月08日vol.1100掲載

ハードを選ばないIP電話構築ソフト

 スカイウェイブ(ロバート・ケリー社長)は、VoIP関連のソフト開発に事業を絞るITベンチャーだ。

 IPネットワークを使った音声コミュニケーションが浸透する前の1997年に創業。「VoIPビジネスの先駆け」(古屋光俊常務取締役)としてIP網を使った通話システムを手がけ、その中心になるソフトの開発に力を入れている。

 主力商品は、IP-PBX(IPを使った構内交換機)ソフトウェアの「SkyIP-PBX」。同社の自社開発ソフトで、IP電話システムをハードウェアの種類に依存することなく構築できるのが特徴。ハードとソフトがセットになって製品化されていることが多いIP-PBXのなかで、差別化を図った。

 “ハードを選ばないIP電話システム構築ソフト”というコンセプトが、システムインテグレータ(SI)やディストリビュータに評価され、NECシステム建設やサンテレホンなどITベンダーや通信機器ベンダーが販売パートナーとして集まった。IP電話システム構築案件に「SkyIP-PBX」を活用しており、大手企業を中心に顧客を増やしている。

 一方、大手企業が中心だった顧客層を中小企業に広げる取り組みも始めている。創業時に比べればIP電話は普及しているというが、「実際の導入・運用に結びついているのは大手企業が大半」(古屋常務)という。古屋常務は、中小企業に普及しない理由を「IP電話システムの分かりにくさ」と分析。そこで、中小企業開拓の戦略として、IP電話システムをサービスとして提供するビジネスモデルを考え出した。

 7月中旬から販売開始したサービス「Skyビジネスフォン」は、「SkyIP-PBX」を活用したIP電話システムのアウトソーシングサービス。システムはスカイウェイブのデータセンターで運用し、ユーザーは自社内にシステムを持つ必要がない。費用は、電話機の台数に応じた月額利用料金制にした。電話機1台あたりの価格は初期費用も含め3465円。稼動までにかかる時間も最短で1か月で行える体制も整えた。販売は代理店経由のほか、直販も始める。

 ソフトベースで大手企業向けのIP電話サービス市場に入り込み、中小企業には分かりにくさを解消するためサービスとして提供。ハードを選ばないソフトにしたことで、SIのニーズをつかみ、中小企業にはサービスとして直販に乗り出した。単純な間接販売ベースのソフト開発事業だけでは終わらせない。2つのビジネスモデルで、IP電話市場に広くアプローチしていき存在感を示していく。(木村剛士)
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