大遊泳時代
<大遊泳時代>第80回 道州制、千里の道も一歩から
2005/08/08 16:18
週刊BCN 2005年08月08日vol.1100掲載
松下電器産業 顧問 前川洋一郎
近畿2府7県3政令都市、6経済団体が「関西は1つ」の理念のもと1999年、関西広域連携協議会(略称・KC、事務局長・田中英俊氏)を設立し、新たな広域連携の枠組に取り組んでいる。「仲が良さそうで、まとまらない」、「関西は1つずつ」、「府市あわせ」と言われるなか、いきなりの道州制より、「できることから、広域でないとできないこと」から始めようと運営されている。
その中で特筆すべきことが2点ある。第1は、広域の防災ITネットワークづくり。現状は、ファクシミリ頼りの人頼み、入手ルートも伝達ルートもバラバラである。そこでITの出番である。行政機関、ライフライン企業、メディアと一般住民を結ぶ情報ラインを整備中。地上デジタル放送も組み込み、IP化を図っていく。これこそ広域連携である。
第2が、民間企業の参画ならではの施策である。昼間の市内への流入(通勤)人口を、昼間災害時にどう自宅へ帰らせるかという問題である。
これまで働き虫の日本人、何が起こっても会社へ出かけるためのルート方策ばかり考えてきた。これからの自助・共助・公助(7:2:1)の実態では、各住民の自宅、家族、地域社会がもっとも大切である。
でも幾万人という通勤者が大阪・京都・神戸の都会から果たして歩いて帰れるだろうか。
各企業の日頃の対応、各人の心がけ、そしてその道筋の支援が必要である。
そこで、4月1日よりKCが関西2府5県3政令市を代表して、ローソン、セブン─イレブン、ファミリーマート、エーエム・ピーエム、吉野家など12のコンビニエンスストアと「帰宅困難者支援協定」を結んだ。約6000店が参画した。素晴しいことである。
ねぇ、ワトソン君「千里の道も一歩からだね!」。「そうですよ。都合の良い時だけの公だのみはいけませんね。まずは自助からですよ」。
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