ITIL創生期 変わるITサービス

<ITIL創生期 変わるITサービス>14.中堅企業へのITIL導入が活性化

2005/08/08 16:18

週刊BCN 2005年08月08日vol.1100掲載

 「ユーザー企業へのITIL導入はこれまで、ITベンダーが主導してきた。だが、今はユーザー企業からITIL導入の機運が高まっている」──NECフィールディングは7月から、ITILに基づくITシステム運用を支援する「ITマネジメントサービス」の提供を開始した。この時期に同サービスの提供を打ち出したのは、同社の富永正敏・マーケティング本部シニアエキスパートが冒頭に述べた理由からだ。

 NECフィールディングは、同サービスを首都圏の大企業だけでなく、地方の中堅企業への普及も目指す。そのため、同サービスは、システム運用状況診断や運用監視・運用管理を支援するだけでなく、「ITILを知らない中堅企業に対し、ITILとは何かを理解してもらう必要がある」(高木秀峰・ITマネジメント事業推進本部企画部主任)と、ITILに関する教育としてユーザー企業へ講師を派遣する。

 同サービスの普及により、NECフィールディングは、同社が得意とするリモート監視型の保守・運用サービスを増やす狙いもある。「企業のシステムがリプレースされ、RFP(提案依頼書)が変更される時期を狙い、同サービスを提案していく」(富永エキスパート)という。同サービスでは今年度(2006年3月期)売上高5億円を目指すが、リプレースを機に運用代行やネットワーク構築など、同社の別のプロダクトを提案していく方針だ。

 富士通サポートアンドサービス(Fsas)は7月から、中堅企業向けに全国でITILに関連する「運用管理対策セミナー」開いている。セミナーでは、ITILを適用してシステム運用する効果について説明したあと、参加したユーザー企業に対し、独自に作成した「IT運用簡易診断ツール」で現状のシステム運用体制を診断している。

 ここで利用する同ツールは、「バックアップからリストア(復旧)を確実にできているか」など、初歩的な50の質問で現状のシステム運用の問題点をあぶり出す。「ITILに基づいた質問を投げかけ、ユーザー企業のシステム運用の弱点を探す。こうした初歩段階から支援することで、当社が主力とする中堅企業へもITILが導入できる」(佐藤昭博・サービスビジネス本部サービス企画部第二サービス企画部長)と、地道な活動をしている。

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