“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日
<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>14.著作権隣接権と自動公衆送信
2005/08/08 16:04
週刊BCN 2005年08月08日vol.1100掲載
シンポジウムでは、BBテレビ役員の楜澤悟氏などが参加した第1セッションで、「地上デジタル放送の同時再送信」の意義や行方を討論。第2セッションでは、総務省担当者や弁護士などが参加して「著作権処理の問題」を取り上げた。
どちらのセッションからも、「通信と放送の融合」には「著作権法」が大きな障害になっている様子がうかがえた。
海外で着々と進む「IPTV」(IP方式のテレビ放送)が国内で広がらない原因は、著作権法上、IPテレビが「放送」と認められておらず、放送事業者に与えられる「著作権隣接権」が使えないので、著作権処理が極めて煩雑になるからだ──業界内では、このように言われている。
ところが、シンポジウム参加者の意見を聞く限り、この定説は単なる“業界慣行”であり、法的に確たる裏付けがあるわけではないグレー領域だったようだ。
日本の著作権法は公衆送信に対して「放送」、「有線放送」、「自動公衆送信」という独特の区分を設けている。放送とは一般のテレビ・ラジオ局が手掛けるもので、有線放送とはCATV局、有線音楽放送を想定している。
そして自動公衆送信は、「インターネットのホームページなどを用いて、公衆からの求めに応じて自動的に行なう送信」と著作権法で規定されている。
放送・有線放送には著作権隣接権と呼ばれる著作権処理上のアドバンテージ(次号以降で説明)が与えられるが、自動公衆送信には与えられない。
争点は、BBテレビなどIPTVは放送・有線放送なのか、自動公衆送信なのかである。
楜澤氏は、「我々は(通信と放送の融合を目指し、総務省が策定した)電気通信役務利用放送法に基づく放送事業者だと考えているが、(著作権法を管轄する)文化庁は自動公衆送信と見なしている。その見方が放送業界に影響を与えている」と話す。
このような食い違いがなぜ生まれるのか。実は、「放送」に対する、総務省と文化庁の解釈が根本で違っているのである。
次号で詳しく説明しよう。(坂口正憲(ジャーナリスト))
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