大遊泳時代
<大遊泳時代>第78回 外来語の訳し方
2005/07/25 16:18
週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
「ウイルス」発生の届け出が減らないようで、お互い迷惑する。しかし、ウイルスとは、どんな理屈で、どんな現象を起こし、どんな被害がでるか、もうひとつ世の中の人々は解らずに使っている。最近、「ポイズンピル」という言葉には驚いた。「大企業が『毒薬条項』を!!」などの新聞記事を見て、どこの農薬会社かと疑った。
敵対的買収を抑止するための手段で、相手側に毒がまわるとの意味で名付けたというが、もっと解かりやすい訳語はなかったのか。といってITだ、イットだと、やたらと英語、カタカナを振りまわすのも情けない。
昔、洋画やポピュラー音楽の日本語名が実にうまく原作者の心と中味を伝える訳語で感心したことが多い。日本国内では、しっかり国語を学んで日本語でいこう。
翻訳・訳語の中に本質を究める力が付くのだから、日本の学会も行政もジャーナリストも、そして、企業ももう少し考えなくては情けないのではないか。品性・人間性が言葉にほのぼのと感じられるようにして欲しい。
ところで今回、ライブドアのホリエモン騒動は、テレビ、ラジオ、インターネット、その上、プロ野球とNHK問題が絡んだ身近な話題であった。というのは、家庭で親子、夫婦、老人、孫の間に恰好の対話の機会を与えてくれたからで、感謝すべきことである。ホリエモンは、今年最大の話題プロバイダーであった。
エコノミストやジャーナリストは難しい証券用語の乱発よりも、お客様に放送・通信の融合、公共娯楽の再開発などを解かりやすく国民に教えて欲しかった。
ホームレス業界でもブルーテントは禁語になっているらしい。テント業界が不快感を示しているという。
ねぇ、ワトソン君「そろそろ、いい名前ないかな?」。「いやー、この際、ホームレスもグリーンテントにしたら名実共に目立たないのにね!」。
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