大遊泳時代

<大遊泳時代>第75回 NABと食博

2005/07/04 16:18

週刊BCN 2005年07月04日vol.1095掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 この度、手分けしてワトソン君はアメリカの「NAB(全米放送協会展)」、私は大阪の「'05食博覧会・大阪(食博)」に勉強に行った。自然とハイテクとローテクに分担が決まってしまったが、仕方ない。

 NABは1379社の出展、10万人来場、BtoBの展示会である。もう放送機器展というより、ネットワーク・メディアショーといえる。

 CES(コンシューマエレクトロニクスショー)との違いとは、中国、韓国系の来場者は多いが、出品は少ない。やはり、この世界、技術的にまだ欧米日が進み、アジアは途上国なのかもしれない。しかし、日本も最近、量産普及に落ちてくる時の受け止め方が、少し下手になってきたのが心配。

 今回のNABの特色は、①IPによる番組コンテンツの配信「IPTV」、②HD(高精細)映像であらねば映像にあらず、③ノンリニア編集、高度な圧縮技術、④プラズマとリアプロが目立つ、⑤放送機器もプロシューマ用、ローカル局用などコンパクト化、⑥VOD(ビデオオンデマンド)の普及に熱が入る、⑦メモリがテープレスとなり、光ディスク、SDカードと多様化、⑧マイクロソフトの「ウィンドウズメディアプレーヤー10」の展示。

 一方の食博はどうか。国際的、全国的な展博が東京へシフトするなか、関西人の意地で残して、やり抜くというのが「食博」である。こちらは406社出展、66万人の来場。関西電力、大阪ガスのエネルギー、松下電器産業、シャープの電化製品、リンナイ、ダイキンの住設機器を核に、全国府県の名物名店コーナー、大阪のすべての外食産業、流通の出展。海外からも韓国の包丁のショー「NANTA(ナンタ)」が来演。白モノとはいえ脱ローテクのシャープのスチームレンジ、松下のIHヒーター、そしてユニバーサルデザインのシステムキッチンが大人気。生ごみ処理も人だかりがしていた。将来は、オール電化や家庭用燃料電池が見ものである。

 ねぇ、ワトソン君!!、「ハイテクもローテクもないね!!」。「要は、どう人を呼び込むかビジョンとコンテンツですね!」。
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