未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>33.AIT
2005/06/27 20:43
週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載
パッケージビジネスに焦点
AIT(望月直行社長)は、IBM製品を中心としたハードウェア販売とソフト開発事業をメインに据える。UNIXやLinuxプラットフォーム上のソフト開発、システム構築を得意としている。IBMのUNIXサーバー「pSeries」の販売では、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の特約店のなかで販売台数で第5位のポジション。昨年度(2005年3月期)の売上高では全体の70%をハードウェアの販売が占めた。しかし、望月社長は、3年以内にハードの販売比率を50%まで下げ、ソフト開発とITサービス事業を伸ばす計画を打ち出している。ハードの低価格化が進むなか、「その傾向は今後も続く」(望月社長)ことは確実で、「今のビジネスモデルでは5年後に売り上げは大きく落ちる」(望月社長)という危機感があるからだ。
そこで、パッケージソフトビジネスに力を入れていく方針を掲げた。パッケージソフトは利益率が高く、販売代理店となるITベンダーを見つけ出せれば、自社で営業担当者を抱えなくても広く市場にアプローチできるためだ。
ただ、自社開発でパッケージを用意するのではなく、「他社との提携によって体制を整える」(望月社長)つもりだ。その理由は「スピード」にある。
望月社長は、「自社開発パッケージは利益率が高く、将来は手がけていきたい。だが、短期的には、パッケージソフトを1から自社で開発するのでは遅すぎる。市場はその時間を待ってくれない」と、パッケージソフトをいち早く提供するスピード力がまずは重要であると強調する。
すでに、電子文書管理ソリューションとしてJFEシステムズ(旧川鉄情報システム)の「ファイブリッジⅡ」の販売を手がけている。近く、フレームワークスが開発した運送業者向けパッケージの販売にも乗り出す。
今後は、独占販売代理店契約を結べるパッケージソフトベンダーを探すほか、「パッケージソフトメーカーのM&A(企業の合併・買収)も視野に入れている」(望月社長)など、他社とのアライアンスを強化することで、パッケージソフトを揃える。来年度までには6つのパッケージソフトを揃える予定になっている。
「外の力を最大限に生かす」(望月社長)ことで、まずはノウハウ不足を補い、ソフト開発・販売事業を伸ばしていく考えだ。(木村剛士)
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