フレッシュマンセミナー ITの常識

<フレッシュマンセミナー ITの常識>11.オフショア開発動向

2005/06/20 16:04

週刊BCN 2005年06月20日vol.1093掲載

 企業が利用するアウトソーシングのうち、海外事業者を利用する形態を「オフショアアウトソーシング」や「オフショアリング」などと呼んでいる。このオフショア活用で顕著な分野にソフト開発が挙げられる。

 もともとソフト開発は完全自前であれば開発効率が高いが、その反面開発コストは高くなる。そこで開発コストを少しでも下げようと、国内のソフト開発メーカーは海外企業へのアウトソーシングに走るのである。

 現在、オフショア開発の主流はインドや中国だ。たとえばインドは、IT産業の競争力が拡大、ソフト開発売上高の伸び率は20%を超えるという。インドから日本へも30社を超える企業が進出している。一方、中国も高い経済成長率を誇り、“世界の工場”とまでいわれているだけに、中国オフショア市場を活用する日本のITベンダーは多い。また、最近ではフィリピンやベトナム、ロシアなども注目されつつある。

 オフショア開発のメリットは、人件費の安い海外ソフト開発者を利用して開発コストを削減し、利益率のアップが見込める点だ。しかし、日本と海外の間にたちはだかる開発文化や商習慣、たとえば品質や納期、コストなどの壁を超えることはかなり厳しく、結局、開発期間の延長や開発のやり直し、余分な通信コストや出張費などの発生で、見込み通りのコスト削減効果を生み出せないケースも少なくないという。

 そこで、海外の開発文化や商習慣にわずらわされず、かつ人件費も比較的安価な国内の地方ソフト開発会社に目を向けるITベンダーもある。

 もっとも、オフショア開発はコスト削減のみならず現地の技術レベルの高さも評価されるようになっており、確実に進んでいる。今後は、企業価値の向上や競争力強化もふまえたコアコンピタンスづくりのために、積極的な取り組みが進んでいくだろう。(真実井 宣崇)
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