未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>31.ホライズン・デジタル・エンタープライズ

2005/06/13 20:43

週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載

Linuxを身近な存在に

 企業や地方公共団体の情報システムに徐々に浸透しているLinux。IT調査会社のガートナージャパンの調べによれば、日本の地方自治体でLinuxサーバーを利用している団体は、2004年で約53%に達している。03年に比べ18.2ポイント上昇し、その存在感は着実に増している。

 ソフト開発ベンチャーのホライズン・デジタル・エンタープライズ(HDE、小椋一宏社長)は、Linuxのアプリケーションソフトをつくり続けている。地方公共団体向けのLGWAN(総合行政ネットワーク)接続のためのLinuxゲートウェイサーバー管理ソフトは、これまでに約1000団体が導入した実績を持つ。「使いやすさと分かりやすさが認められた」結果だと小椋社長は話す。

 HDEの開発コンセプトは、「テクノロジーの解放」(小椋社長)。「新技術が生み出されても、すぐにその新技術を利用できる人は少ない。その代表例がLinux。Linuxのユーザーは技術に明るい人が多く、一般のユーザーが使いこなすまでには時間がかかる。Linuxを一般ユーザーにも簡単に使える身近な存在にすることがミッション」と小椋社長は説明する。

 同社はLinuxサーバー管理ソフト「HDEコントローラー」を軸に、サーバーの運用管理をメインにソフトを開発。Linuxだけでなく、ウィンドウズやUNIXサーバーの混在システムでも管理可能な製品も用意する。いずれも、ウェブブラウザ上からGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を使って容易にサーバーを運用でき、グラフで運用状況を把握することも可能だ。

 03年からは、独自のアンケート調査で、「ユーザーの関心が最も高かった」(小椋社長)セキュリティ関連ソフトにも取り組んでいる。ウイルス対策ソフトメーカーの日本エフ・セキュアとの技術提携により、Linuxサーバー向けのウイルス対策ソフト、電子メールチェックソフト、そしてスパム(迷惑メール)対策ソフトを用意。今年度(05年9月期)はセキュリティ関連ソフトが売上高の約30%を占めるまでに急成長する見込みだ。

 サーバー管理ソフトだけでなく、セキュリティソフト事業も軌道に乗ってきたことで、今年4月には事業部制からプロダクト別に組織を変えた。また、NEC、富士通などの大手ITベンダーをパートナーに間接販売で業績を拡大させてきたが、今後はエンドユーザーへの直接的なアプローチにも力を入れる。これからもLinuxに焦点を当て、「新技術とユーザーの架け橋となる」(小椋社長)ソフト開発を進めていく。(木村剛士)
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