大遊泳時代
<大遊泳時代>第72回 カラオケとカーナビの同異性
2005/06/13 16:18
週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
最近「カラオケ文化産業論」なる本を出版したところ、色々なところから、ご批評や追加情報をいただいた。その中で、パナソニックでカーエレクトロニクスの商品企画をやってこられた財団法人、21世紀職業財団の更科俊二氏から、カラオケとカーナビは普及・利用がよく似ているとお教えいただいた。
第1に、歌詞を見るのと地図を見る──のは似ている。第2に、唄は曲でガイドされると同じく、運転は音声でガイドされる。第3に、カラオケもカーも狭い空間の世界。第4にリモコンが便利。第5に、カラオケは商標ではないが、ナビは当初、日本ビクターの登録があったが、その後、公開されたとのこと。
そして、最近はカラオケがパッケージから通信に変わったが、カーナビもテレマティクスで通信が入ってきた。
本コラム第36回で、カラオケとカーステレオは、8トラックテープと、母なる大地は同根。そして、各々、別々の発展を続けて、今またカーナビも交流交差し始めたと紹介したことがある。
現に、バスカラを見ると、8トラからレーザー・CD・半導体メモリ・DVDとなっており、そして、カーナビ・DVDでバスAVマルチシステムとして一体化してきた。そこへ携帯が加わるとなお面白い。
しかし、根本的に違うことがある。1つはカラオケはアルコール付きが多いが、カーナビはアルコール厳禁である。
もう1つは、カラオケは異業種、異業界が共存するバリューチェーンであるのに対し、カーナビはカーメーカーの垂直統合であることだ。
ねぇ、ワトソン君よ!「カラオケ事業者もカーメーカーも銀行と同じく、数社の寡占となったね」。「いやー、カラオケは、これから端末のユビキタス化で、どうなるか落ちつかないですよ」。
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