IT Stock Frontline
松下が高値更新
2005/06/13 16:04
週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載
各メーカーの在庫調整が今夏一巡の予測
ハイテク株に動き戻る
松下電器産業、TDK、京セラが本年の高値を更新するなどハイテク株の強さに関心が向いている。ハイテク株は昨年後半以降、人気低迷が続いていたが、IT関連製品の在庫調整が夏ごろにも一巡しそうとの見通しが増え、株価はそれを先取りする動きが出ている。2005年3月期決算で好業績となった企業を評価する機運も広がっている。その代表が松下。PDP(プラズマディスプレイパネル)テレビなどデジタル家電が牽引役となり収益が一段と拡大。今後新たなリストラに取り組まなければならない民生用電機メーカーが多いなかで、大きな構造改革を終えた松下の06年3月期の純利益は前年度比88%増の1100億円になる見通し。ソニーやパイオニアなどが苦戦しているデジタルAV(音響・映像)機器の営業利益率は4.2%まで改善する。
決算説明会の席上で中村夫社長は今期以降について「株主価値の最大化に向け、成長戦略を加速する段階」と位置づけており、株式市場の評価は一段と高まっている。
TDKはハードディスクドライブ(HDD)需要の増加を受けたGMR(巨大磁気抵抗)ヘッドの好調が注目される。HDD市場の新たな牽引役となっている携帯音楽プレーヤーのほか、従来市場のパソコン向けも伸びている。
京セラは有機EL(エレクトロルミネッセンス)、太陽電池などに有望分野への投資を積極化する一方で、デジタルカメラ、光学式カメラからの撤退を決定。また米国の携帯電話子会社の製造部門を売却するなど、事業の「選択と集中」が評価されている。
米国でも大手証券のメリルリンチがテクノロジーセクターの投資判断を引き上げたほか、デル、ヒューレット・パカード(HP)の好決算など、日本のハイテク株に追い風が吹き始めた。(有賀勝久)
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