未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>30.ソフトウエアサイエンス

2005/06/06 20:43

週刊BCN 2005年06月06日vol.1091掲載

ソフトの設計フェーズ評価ツール発売

 受託ソフト開発ビジネスからの脱皮──。

 ソフトウエアサイエンス(SSI、池田吉郎社長)は、既存のビジネスモデルを超えた新規ビジネスに着手している。SSIは1972年設立の老舗ソフト開発企業。エンドユーザーから直接請け負う開発案件はなく、ITベンダーからの下請け案件を中心にビジネスを進めてきた。

 だが、「ITベンダーがオフショア開発を使い始めた」(池田社長)ことなどで案件数は低下し、受注単価も下がってきた。ソフト開発企業が抱える悩みを、SSIも同様に持っているわけだ。そこで、これまでの事業体質にはとらわれない新たなビジネスモデルの創出に動き出している。

 その1つが、ソフト開発プロジェクトの設計フェーズを評価するツールの商品化。ソフト開発を続けるなかで、「開発に入る前の設計管理・評価が重要」(池田社長)として、ソフト開発の上流工程である設計段階を評価するツール「ソフトウェア品質検査ツール」を商品化。今年8-9月をめどに発売する計画だ。

 池田社長は、「ソフト開発がスタートし、走り出したプロジェクトの進捗管理を行うツールはあるが、その前段階の設計を評価・管理するツールはほとんどない。不採算案件が発生するのは、設計業務をきちんと詰めていないことが原因」と、設計管理の必要性を強調。これまで、ユーザーの要望に合わせたソフト開発を手がけてきたが、ツールの提供という新たなビジネスモデルにも今夏から挑む。

 さらに、新ビジネスとして携帯電話向けコンテンツの制作・配信事業も始めている。KDDIの「au」携帯電話向けに、待ち受け画面コンテンツを制作し、配信まで手がけている。約10万人の会員獲得に向け、5月からサービスを始めた。

 池田社長は、「携帯電話向けのコンテンツ制作はこれまでのSSIには考えられないビジネス。新規事業は、面白かったり可能性があると感じたものについては、たとえノウハウ不足でもチャレンジしていく。これまでのビジネスモデルの枠組みにはとらわれない」と話す。

 また、「約30年以上続けてきたソフト開発のノウハウをビジネスに生かせるよう素材があったら、積極的に商品化していきたい」と、設計評価ツール以外にも商品化に意欲を示す。

 受託ソフト開発ビジネスを続けながらも、新規ビジネスの創出に力を入れ、来年度(06年3月期)までには売上高に占める新規事業の割合をまず10%まで高める考えだ。(木村剛士)
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