e-Japanのあした 2005
<e-Japanのあした 2005>38.データ標準化への取り組み
2005/06/06 16:18
週刊BCN 2005年06月06日vol.1091掲載
これまでの電子政府・電子自治体サービスでは、住民が公的機関の窓口に出向き、書面による手続きを行ってきた従来のやり方をそのままオンライン化する形で実現されてきた。しかし、今は住民がサービスごとに異なるシステムに接続して行っているオンライン手続きも、将来は転居や出産などの時に1回の届出を行うだけで、公的機関のなかで必要な業務システムの処理や、電力、電話などの民間企業への届出を自動的に行ってくれるワンストップ化が実現して、利便性向上が期待されている。さらにデータの入力方法も、利用者側が各申請の様式に合わせて申請書を作成する従来のやり方ではなく、ウェブに直接データを入力するだけの簡単なウェブサービスへの移行も検討されている。
ここでポイントとなるのが、データ標準化である。電子自治体システムでも、各業務システムがバラバラに導入されてきたために、同じ自治体内でもデータのやり取りを自動化するのは容易ではない。昨年4月に発足した電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会では、この問題を解決するためXMLタグによるデータ標準化を推進することを決定。11月にデータ標準化ワーキンググループ(松尾明座長=中央青山監査法人公認会計士)を立ち上げて、XMLタグ設計ルールの策定作業を進めてきた。今年3月に全国知事会、全国市長会、全国町村会の代表団体が参加したデータ標準化推進地方公共団体協議会が発足して、XMLプロファイルやスキーマ言語などのXMLタグ設計ルールを了承。今年度はXMLタグの設計やシステムへの実装が本格化する段階へと進んできた。
データ標準化による成果が、国と地方でデータ交換を円滑に行えるようにする国・地方連携システムだ。中央省庁では、政策立案に欠かせない統計データなどの調査機能をそれぞれ独自にもって、地方に対してさまざまな調査・照会を行っている。国・地方連携システムでは、中央省庁が必要とする情報をエージェントと呼ばれる情報提供サーバーに蓄積し、必要に応じて情報を取りに行く仕組みとすることで地方の業務負担を大きく軽減するほか、国と地方で連携して業務処理ができる環境も整える計画だ。さらにデータ標準化WG(ワーキンググループ)には、全府省の統計調査業務を横断的に見直す作業を進めている統計局も参加。国の調査統計業務と国・地方連携システムとの整合性が確保できる体制を整えた。
「データ標準化も、まず“隗より始めよ”で、総務省の内部から実践していく」(細田大造・自治行政局自治政策課課長補佐)。住民に対して国・地方の区別なくワンストップで公共サービスを提供できる環境を整えるうえで、データ標準化は避けては通れない課題であり、今後は標準化したXML文書を管理・普及していく枠組みつくりにも取り組んでいく。
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