フレッシュマンセミナー ITの常識

<フレッシュマンセミナー ITの常識>9.市町村合併と情報システム統合

2005/06/06 16:04

週刊BCN 2005年06月06日vol.1091掲載

 地方財政の危機や人口の高齢化・少子化対策、住民に身近な行政の権限を地方自治体に移行させる、などを目指して市町村合併が進められてきた。2006年春までには市町村合併によって新たに600近くの自治体が誕生し、99年春には3200強あった市町村数も1800強に減少する。「平成の大合併」といわれる所以だ。

 99年7月公布の合併特例法によると、05年3月31日までに合併した市町村には、国から市町村への普通交付税が合併後10年は合併前の全額保証、都市建設計画の資金を合併特例債で調達可能でその元利償還金のうち70%程度が普通交付税の対象となるなどの支援策が設けられる。

 市町村の合併で重要なのは情報システムの統合だ。複数の市町村が合併すれば、自治体の情報システムの対象となる住民エリアが拡大するので、地域住民にとってはサービスの種類や量、選択肢が増えていくことなどが期待される。

 一方、大手ITベンダーやシステムインテグレータ(SI)は、合併にともなう情報システム統合ビジネスの獲得にしのぎを削った。ある大手ITベンダーは100団体前後の商談を獲得、有利なビジネスを展開しているという。

 だが合併の結果、顧客である自治体数そのものは減るので、SIによっては必ずしも“うまみのあるビジネス”というわけではないようだ。

 合併にともなう情報システム統合では、一方のシステムに合わせたところもあれば、税関係や住民基本台帳関係でそれぞれ異なるホストコンピュータを使うなど分裂したシステムになったところもある。現実には、1つの自治体のなかで複数の大手ITベンダーがシステムを手がけるなどのケースもあるという。しかもシステムの維持管理コストは低減化しなければ、合併早々にオープンシステム化を検討するなどの話も尽きないようだ。(真実井 宣崇)
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