未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>29.エグゼコミュニケーションズ

2005/05/30 20:43

週刊BCN 2005年05月30日vol.1090掲載

“個人情報の貸し金庫”を提供

 「いつでも誰でも使える、インターネット上の“個人情報の貸し金庫”を提供する」──。2000年設立のITベンチャーであるエグゼコミュニケーションズ(四宮玄介代表取締役)が提供するサービス「セキュアDB」のコンセプトである。

 4月1日に個人情報保護法が完全施行され、企業は個人情報の取り扱いに細心の注意を払わなければならなくなった。個人情報を格納するデータベースには、アクセス管理やログ(情報の記録)収集ソフトの導入など、情報システムのセキュリティ対策を強化する必要も出てくる。

 しかし、IT投資に多くの資金をまわせない中小企業は、個人情報を漏らすなど規定を破った場合に法的罰則がある状況下でも、十分なシステム構築は難しい。エグゼコミュニケーションズは、この市場にアプローチした。

「セキュアDB」は、個人情報を格納するデータベースシステムをASP(アプリケーションの期間貸し)形式で提供するサービス。独自のデータベースソフトを自社開発し、サーバーの運用も代行する。ユーザーは、インターネットに接続できる環境さえあれば、ブラウザ上から取引先や顧客の個人情報を閲覧・収集でき、属性分析など情報の有効活用が可能だ。さらに、「誰が・いつ・どのデータに」アクセスしたかのログも収集できる。

「個人情報を、多額のコストや手間をかけなくてもセキュア(安全)な環境で保存できる」(秋元良平・営業担当取締役兼営業本部長)わけだ。

 今年1月から、自社の営業担当者による直販と、約60社の代理店を通して本格的に販売開始。販売後わずか5か月で約2400社の顧客を獲得した。

 機能を限定したことで実現した低価格(初期費用1万5750円、月額利用料4750円-)と分かりやすさを武器に、社員数50人以下の中小企業から人気を集めた。今年度(06年3月期)末には1万5000社の顧客獲得を狙っている。

 秋元取締役は、「中小企業は個人情報保護の必要性を分かっている。でも、投資額は少ないし、何より、何をしたら良いか分かっていない。その悩みの声を上手くソフト開発に生かした。また、ASPやデータベースなどの難しい言葉を使わないプロモーショに努めたことも奏功している」と話す。

 情報セキュリティ対策ブームを追い風に、「セキュアDB」で顧客基盤を確保。すでに関連する新製品・サービスの創出にも着手している。(木村剛士)
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