フレッシュマンセミナー ITの常識

<フレッシュマンセミナー ITの常識>8.好調な携帯オーディオ市場

2005/05/30 16:04

週刊BCN 2005年05月30日vol.1090掲載

 ネットから曲をダウンロードして楽しむ携帯オーディオ市場が海外・国内ともに好調だ。ある調査会社の発表によると、携帯オーディオ機器のワールドワイドでの生産台数は2004年が2582万台、前年比114.4%増と2倍以上の伸びであるという。この状態が続けば、05年には5000万台、06年には6000万台に達する勢いという。

 携帯オーディオ市場の立役者は、アップルコンピュータの「iPod」。BCNランキングによると、同社は05年3月のメーカー別販売台数シェアで45.7%と2位のソニーの10.7%を大きく引き離した。

 iPodは昨年の一時期にはアップル全体の売り上げの20%を占め、パワーブックをも上回ったという。米国ではiPodの盗難事件が相次いだと報じられたほどだ。成長の背景には、03年4月からの音楽配信サービス「iTunesミュージックストア」の影響も大きい。楽曲のダウンロードは今年1月には2億5000万曲を超えたという。

 競合勢も活発だ。99年にメモリースティック型を投入したソニーは新たにハードディスクドライブ(HDD)型の新ネットワークウォークマンを投入。発売直後にはBCNランキングでもメーカー別販売台数シェアでトップになった。松下電器産業もフラッシュメモリ型に加えてSDメモリ型を発売。海外ではサムスン電子も数機種投入している。東芝では、動画の録画・再生が可能な携帯音楽プレーヤーの年内発表を予定している。

 手の平サイズで高音質、しかも多くの曲を持ち運びできる機能は、歴史的にウォークマンで慣れ親しんできたポータブル音楽派を含め多くのユーザーを魅了し続けている。最近ではデジタル写真の保存・閲覧まで可能なタイプも登場した。携帯音楽市場は、こうした付加価値を取り込んで、この先どこまで拡大し続けるのか興味深い。(真実井 宣崇)
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