未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業
<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>27.スプレッド
2005/05/16 16:18
週刊BCN 2005年05月16日vol.1088掲載
SEのコミュニケーション能力向上へ
スプレッド(南谷浩代表取締役)は、システムエンジニア(SE)を対象とした教育事業に力を入れている。親会社でソフトハウスのリンクスのSE教育サービス提供企業として事業を展開している。スプレッドの教育プログラムの特徴は、技術スキルを身に付けさせるのではなく、コミュニケーション能力の向上に主眼を置いていることだ。
SE教育事業を立ち上げた小川正明・教育コンサルタントは、「SEに足りないのは、プログラム言語や開発手法などの技術知識や経験よりもコミュニケーション能力。顧客の話を聞き、案件を詰めるスキルがSEは未熟」と言い切る。システムインテグレータ(SI)やソフトハウスが慢性的に抱えるソフト開発の問題プロジェクト化の要因は、SEのコミュニケーション能力の低さに起因すると指摘する。
小川コンサルタントは、ソフト開発に携わり、ソフトハウスの経営も手がけた経歴を持つ。開発現場を経験し、SEを統括する業務にも従事した。ソフト開発産業で30年以上の経験があるなかで、SEのコミュニケーション能力向上のための施策には特に頭を悩ませていたという。
「ソフトを開発するうえでの技術知識の取得は、SEが各自で資格制度などを活用してレベルアップする。ある程度個人に任せておいても問題はない。だが、コミュニケーション能力については必要性を感じていないSEが多く、何よりコミュニケーション力を身に付けるための教育プログラムがなかった」と、同事業を開始した理由を説明する。
スプレッドの教育プログラムは、7か月間の通信教育方式。コンサルタントとの面談のほか、テキストベースの教育カリキュラムで構成する。近畿大学商経学部の市毛明教授の監修のもと、小川コンサルタントが約5年かけて作成した。
開発案件の仕様書を作成する場合に、顧客との会話で重要なことや顧客への説明方法、不採算案件の発生を防ぐにはどのようなコミュニケーションが必要なのかなどをトレーニングする。カリキュラムは初級者用と中堅SE向け、ITコンサルタント向けの3つ。2年程前に事業を開始して以来、中堅・中小のソフトハウスを中心に19社、約500人が受講した。
「ソフトハウスにとってSEの質は最大の差別化要素。コミュニケーション能力までを含めた総合的なSE教育プランがソフト開発企業にとって重要」(小川コンサルタント)と、このサービスを軸に、SEの教育サービスを推進していく。(木村剛士)
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