大遊泳時代
<大遊泳時代>第68回 役所のIT革新
2005/05/16 16:18
週刊BCN 2005年05月16日vol.1088掲載
松下電器産業 役員 前川洋一郎
大阪府庁と府立学校の職員約3万人を対象に、人事給与、福利厚生、財務会計、物品調達を一元情報システムで運営している大阪府総務サービスセンターを見学した。府民対象でなく、府庁内の事務合理化、間接生産性向上が狙いである。各部門、各学校、組織ごとにバラバラに多人数をかけてきたサービスを一元運営するのだから、府知事の電子府庁構想のもと、IT化推進チームをつくって3年がかりだったという。
フロントオフィスにコールセンターを置いて、全職員からの、パソコンの使い方、制度仕組の利用の仕方のイロハまで疑問に丁寧に答えて、素地づくりに努めている。
もちろん、IT専門家が控えているが、70─80%の課題、疑問点は第一線で解決されているという。
府全体で400人分の仕事が効率化、より重要な仕事へシフトしている。ここまで来るのに、府と民間システム事業者、そして、間に入ってのBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング=業務改革)、インフラ(iDC=インターネットデータセンター)づくりが大変であった。
現場を見て驚いた。第1は民間企業が、昔から段階を経てやってきたことを、一挙にやってのける勇気と実力。第2はCTI(コンピュータテレフォニーインテグレーション)を実に上手く活用。1件が5─7分で解決している。第3が大阪が全国自治体初の挑戦。今も唯一ということ。第4が、府知事が「大阪府庁の総務事務改革」という本や日本経済新聞「経済教室」にまでPRしている。第5がBSC(バランススコアカード)を利用しての成果の評価である。
今後の課題は、個人情報保護と市町村合併への対応である。これはリストラとリスクマネジメントに追われる民間企業も全く同じことである。
ところで、ねぇワトソン君、「電子府庁って名前からくるイメージは、なんだかロボット的、機械的だね!」。「そうですね。ひとこと、e役所でいいんですね!」。
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